Breakbeat(ブレイクビート)とは
均等な四つ打ちを避け、拍の配置を崩したドラムパターンを土台とするダンス音楽の総称。中核となるのはブレイクと呼ばれる素材で、1960年代から1970年代のファンクやソウルのレコードから、伴奏が止まってドラムだけになる数小節を切り出し
均等な四つ打ちを避け、拍の配置を崩したドラムパターンを土台とするダンス音楽の総称。中核となるのはブレイクと呼ばれる素材で、1960年代から1970年代のファンクやソウルのレコードから、伴奏が止まってドラムだけになる数小節を切り出したものを指す。これをサンプラーに取り込み、拍ごとに切り分けて並べ替え、テンポを変えて再生する。この過程で、原曲の演奏者の癖や録音の質感が保たれたまま、まったく別のリズムが生まれる。テンポは約120〜140BPMが中心で、系統により110〜175BPMと幅がある。拍の配置はスネアが2拍4拍にありながら、その周囲のキックとゴーストノートが不規則に散らばり、身体を前後に揺らす歩行感を作る。ベースは深く沈むシンセ音で、系統によってはサブベースを用いる。上物はシンセの和音の突き刺し、加工した声の断片、効果音。和声は単純か、あるいは存在しない。制作上の要点は、切り刻んだドラムの隙間に生じる微妙な間の設計にあり、この間の取り方が制作者の個性になる。四つ打ち系のハウスやテクノと比べて、リズムそのものが表現の中心にあり、人力の演奏の痕跡が残る点が最大の相違になる。ジャングル、ドラムンベース、ビッグビート、ヌースクールなど多数の派生の共通の土台でもある。
成り立ち
ブレイクを使う技法の起点は、1970年代のニューヨーク、ブロンクスにある。ダンス音楽のジャンルとしてのブレイクビーツは、1980年代末ごろに形づくられた。DJのKool Herc(本名Clive Campbell、1955年ジャマイカ生まれ)は、パーティーで観客が最も熱狂するのが、曲の中でドラムだけになる短い部分だと気づいた。そこで彼は同じレコードを2枚用意し、2台のターンテーブルでその数秒を交互に再生することで、無限に引き伸ばす技法を考案した。これがメリーゴーラウンドと呼ばれ、ヒップホップの誕生に直結する。この技法によって切り出される部分こそがブレイクであり、そこで踊る者がブレイクダンサーと呼ばれた。1970年代末から1980年代にかけて、Grandmaster FlashやAfrika Bambaataaがこの技法を洗練させた。1980年代半ばにサンプラーが普及すると、ブレイクを機械で取り込んで自由に加工することが可能になる。ここで決定的な素材となったのが、The Winstonsが1969年に録音した「Amen, Brother」の約6〜7秒間(4小節)のドラム独奏部分で、これはAmen Breakとして史上最も広くサンプリングされた音源の一つになった。同様にThe Honey Drippersの「Impeach the President」やLyn Collinsの「Think (About It)」も定番素材となった。1980年代末〜1990年代初頭に米英双方でジャンルが形成され、イギリスではレイヴ文化と結合した。ハウスやテクノの四つ打ちに飽きた制作者が、ブレイクを高速で再生してハードコア・レイヴを作り、そこからジャングル、ドラムンベースが分岐した。同時期にアメリカでは、フロリダを中心にFlorida breaksが1980年代末〜1990年代前半に生まれた。一般に、ビッグビートは英国発のスタイルとされる。1990年代後半にはThe Chemical BrothersやFatboy Slimがビッグビートとして大衆的な成功を収め、映画やコマーシャルで大量に使われた。この分野の歴史には、深刻な倫理的問題が付随する。サンプルの原演奏者の多くは報酬をほとんど得ていない。とりわけAmen Breakのドラマー Gregory Cylvester Colemanはサンプリング使用に対する印税を受け取らず、2006年にホームレス状態で死去したと報じられた。1990年代以降は法的な権利処理が厳格化し、無断サンプリングによる訴訟が相次いだ結果、制作の経済的条件が大きく変化した。現在ブレイクビーツは独立したジャンルであると同時に、電子音楽全般の共通の技法として定着している。
代表曲
- Firestarter(The Prodigy)
- Block Rockin' Beats(The Chemical Brothers)
- The Rockafeller Skank(Fatboy Slim)
- Praise You (Fatboy Slim)
- Hey Boy Hey Girl (The Chemical Brothers)
- Out of Space (The Prodigy)
- Omen (The Prodigy)
- Voodoo People (The Prodigy)
- Right Here, Right Now (Fatboy Slim)
- Spybreak! (Propellerheads)
- History Repeating (Propellerheads feat. Shirley Bassey)
- Warrior's Dance (The Prodigy)
- Everybody in the Place (The Prodigy)
- Busy Child (The Crystal Method)
- Renegade Master (Wildchild)
- Papua New Guinea (The Future Sound of London)
- Spitfire (The Prodigy)
- Bug Powder Dust (Bomb the Bass)
- Bentley's Gonna Sort You Out (Bentley Rhythm Ace)
ルーツ(影響を受けたジャンル)
Rave、 Hardcore Rave
影響を与えたジャンル
Hip Hop、 Jungle、 Rave、 Hardcore Rave、 Big Beat
地図でBreakbeat(ブレイクビート)のルーツをたどるには、JavaScriptを有効にして 音楽ジャンルルーツ辞典 を開いてください。