Canterbury Scene(カンタベリーシーン)とは
イギリス南部の一都市を中心に生まれた、ジャズの和声とサイケデリックな幻想的な雰囲気を穏やかに結びつけたプログレッシブ・ロック。まず音色が独特で、鍵盤にはファズで歪ませたオルガンの、ジャリジャリと割れながらも柔らかい音が多用され、こ
イギリス南部の一都市を中心に生まれた、ジャズの和声とサイケデリックな幻想的な雰囲気を穏やかに結びつけたプログレッシブ・ロック。まず音色が独特で、鍵盤にはファズで歪ませたオルガンの、ジャリジャリと割れながらも柔らかい音が多用され、これがこのシーンの目印になっている。象徴的なMike Ratledgeの音はLowreyのオルガンにファズボックスをかけたもので、ハモンドにファズをかけた音はDave SinclairやDave Stewartが出していた。フルートやソプラノサックスが加わることも多く、金管の厚みよりも木管の細い線が好まれる。和音はジャズ由来の複雑なもので、長い即興と、キャッチーな歌ものを書こうとする志向との緊張関係が、このシーンの中心にあるといわれる。拍子は7拍子や11拍子といった変拍子が頻繁に現れるが、力任せに押し込むのではなく、聴き手が気づかないほど自然に流れていく点が特徴である。曲の組み立ては組曲のようで、10分を超える曲が場面を変えながら展開し、途中に長い集団即興が挟まれる。歌唱は張り上げず淡々と歌われ、英国的な穏やかさを保つ。歌詞にもこのシーンらしさが強く出ており、深刻な哲学よりも言葉遊び、皮肉、脱力した不条理、日常のばかばかしさが好まれる。同じ時代のプログレでも、荘厳さと壮大さを目指した路線とは対照的に、こちらは軽やかで人を食った表情を崩さない。
成り立ち
起点は1963〜64年(資料により異なる)にイングランド南東部ケント州カンタベリーで結成されたThe Wilde Flowersとされる。このバンドは存続中に公式リリースを残さなかったが、1965〜66年や1969年のデモ録音が残り、1994年に初めて発売された。在籍したRobert Wyatt、Kevin Ayers、Hugh Hopper、Richard Sinclair、Pye Hastingsといった面々が、多くのバンドのもとになったとされる。1966年、Robert WyattとKevin Ayers、オーストラリア出身のDaevid Allen、鍵盤のMike Ratledgeが Soft Machineを結成する。名はWilliam S. Burroughsの小説から取られ、ロンドンのUFOクラブでPink Floydと並んでサイケデリック文化の中心となった。彼らは1968年にJimi Hendrixの全米ツアーに前座として同行し、その過酷な日程でバンドは疲弊するが、以後ジャズ寄りに大きく方向を変え、『Third』(1970)では一曲が片面すべてを占める構成に至った。同じくWilde Flowers出身のPye Hastingsらは1968年にCaravanを結成し、『In the Land of Grey and Pink』(1971)で、より歌ものに寄った柔らかい方向を示した。Daevid Allenはビザの問題で英国に戻れずフランスに残り、そこでGongを作って神話的で滑稽な世界を築いた。Robert Wyattは1973年、酒に酔って四階の窓から転落し脊髄を損傷、下半身不随となる。彼はドラムを叩けなくなったが、翌年、事故前の1973年初めにヴェニスで書かれた曲を中心に、Mike Oldfield、Fred Frith、Hugh Hopper、Richard Sinclairら多数の参加者を迎えて『Rock Bottom』を作り上げ、この作品は英国ロックの最高峰のひとつと評される。Hatfield and the North、National Health、Egg、Matching Moleといったバンドが人脈を組み替えながら現れ、その系譜は後年にも及び、21世紀のSyd Arthurのようなバンドも現れた。なお一部の当事者は、カンタベリー派という呼び名に違和感を表している(Robert Wyattは「かなり人工的なラベル」としつつ、聴く助けになるなら構わないと述べ、Dave Stewartは名称に不満を述べた)。
代表曲
- Moon in June(Soft Machine)
- In the Land of Grey and Pink(Caravan)
- Winter Wine (Caravan)
- Love to Love You (And Tonight Pigs Will Fly) (Caravan)
- Alifib (Robert Wyatt)
- Fugue in D Minor (Egg)
- Golf Girl (Caravan)
- The Yes No Interlude(Hatfield and the North)
- Out-Bloody-Rageous (Soft Machine)
- Signed Curtain (Matching Mole)
- Aftaglid(Gong)
ルーツ(影響を受けたジャンル)
Progressive Rock、 Jazz
影響を与えたジャンル
Progressive Rock
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