D-beat(ディービート)とは
特定のドラムの叩き方によって決まる、ハードコア・パンクの一派である。名称はこの型を確立したバンドの頭文字に由来する。その型とは、大太鼓を1拍目、2拍目の裏、3拍目に置き、小太鼓を2拍目と4拍目に落とし、右手は大太鼓に追従して主にク
特定のドラムの叩き方によって決まる、ハードコア・パンクの一派である。名称はこの型を確立したバンドの頭文字に由来する。その型とは、大太鼓を1拍目、2拍目の裏、3拍目に置き、小太鼓を2拍目と4拍目に落とし、右手は大太鼓に追従して主にクラッシュシンバルを打つというものである(シンバルやハイハットを8分音符で連打する変形もある)。この配置によって、馬が疾走するような、あるいは機械が転がり続けるような、途切れない前へ進む力が生まれる。この型は、MotörheadやBuzzcocksから受け継いだ可能性があるとされるが、それをパンクの速度と単純さの中に据えたことで、独自の効果を持つようになった。型を確立したのはDischargeである。古典的なDischargeのテンポは約150 BPMとされ(ドラマー本人の発言)、曲は短いものが多い。ギターは極端に歪ませた和音を掻き鳴らす。和音の変化は最小限で、二つか三つの和音を往復するだけの楽曲も多い。低音はギターと同じ音の動きを重ねる。歌は歌うというより、短く吠えるように怒鳴られ、言葉は途切れ途切れに投げつけられる。歌詞は戦争、核兵器、権力、そして人類の破滅を扱い、極めて短い断片として書かれる。ジャケットなどの絵柄も型が決まっており、白黒の図像が多く用いられる。
成り立ち
1977年、イングランド中部の工業都市ストーク・オン・トレントで結成されたDischargeが、この様式を確立した中心的な存在である。彼らは当初、標準的なパンクを演奏していたが、次第に音楽的な飾りをそぎ落とし、単純な和音の往復と、独特のドラムの型だけで曲を構成する方向へ進んだ。1982年に発表した作品は、東西冷戦の緊張が頂点にあった時代を背景に、核戦争と国家の暴力を主題とし、その音と主張の両面で決定的な影響を残した。歌詞は一曲あたり数行しかなく、標語のように繰り返される。この徹底した削ぎ落としが、模倣を極めて容易にしたことも重要である。1980年代前半、この様式は世界へ広まった。スウェーデンではAnti Cimex(1981年結成)やMob 47(1982年結成。スウェーデンのD-beatバンドの中で最も速いとされる)が、この様式を発展させた。初期のスウェーデンのデスメタルは、メタルよりもパンクやD-beat、ハードコアの影響を強く受けていた。日本ではDiscloseが、この様式への異様なまでの忠実さで知られた。中心人物の川上は、Dischargeに強く傾倒し、その美学を極限まで押し進め、音楽ではなく雑音だという標語を掲げて、極端に歪んだ録音を作り続けた。彼は2007年に死去している。この分野には特徴的な慣習がある。バンド名の頭に、元となったバンドの名の一部を冠するという命名法が広く行われ、多数の集団が同じ接頭辞を持つに至った。これは模倣を恥じるどころか、共通の系譜への仲間であることを誇る態度の表れである。この様式は、より重く遅い要素を加えたクラストパンクへ発展し、また前述の通りスウェーデンのデスメタルの音を用意した。現在も世界各地で、ほぼ同じ形のまま演奏され続けている。
代表曲
- Protest and Survive (Discharge)
- Drunk with Power (Discharge)
- The Nightmare Continues (Discharge)
- Get It Off (Disfear)
- Free Speech for the Dumb (Discharge)
- Why (Discharge)
- Never Again (Discharge)
- The More I See (Discharge)
- Powerload (Disfear)
- When the Innocent Die (Anti Cimex)
- State Violence State Control (Discharge)
- Set Me Free (Anti Cimex)
影響を与えたジャンル
Crust Punk、 Grindcore
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