Darksynth(ダークシンス)とは
シンセウェイヴの語彙を用いながら、明るい郷愁を排してホラーと暴力の場面を描く系統。BPMは100〜140、四つ打ちに近い硬い刻みか、機械的な8分音符の反復が基調で、リズムは明確に前へ押す。見分けるいちばんのポイントは音色の攻撃的な
シンセウェイヴの語彙を用いながら、明るい郷愁を排してホラーと暴力の場面を描く系統。BPMは100〜140、四つ打ちに近い硬い刻みか、機械的な8分音符の反復が基調で、リズムは明確に前へ押す。見分けるいちばんのポイントは音色の攻撃的な感じで、鋸波のリードには歪みが深くかけられ、ベースは低く濁り、パッドは不協和な音程を含んで不穏に揺れる。金属を打つ打撃音、逆再生した悲鳴、心臓の鼓動を模した低周波が随所に配される。和音は短調、とりわけフリギア旋法やハーモニック・マイナーが選ばれ、半音の緊張を、落ち着かせないまま保ち続ける。メロディーは短いフレーズをしつこくくり返し、その上で音色だけが徐々に歪みを深めていくという展開が定型。曲構成には明確なドロップがあり、そこでは全ての音が最大の歪みで一斉に鳴る。歌はほとんど入らず、入る場合はメタルの怒号か、加工された囁きである。ジョン・カーペンターら1980年代のホラー映画の音楽、そしてヘヴィメタルのギターの攻撃性を取り入れようという試みであり、シンセウェイヴが夜のドライブなら、ダークシンセは深夜の逃走劇の音である。
成り立ち
2010年代前半、シンセウェイヴのシーン内部から、より暗く重い方向を求める作家たちによって枝分かれした。名称としてはダークシンセのほか、Dark Synthwave、Dreadwave、Slasher Synthなどが併用された。中心人物はフランスのPerturbator(James Kent)で、2012年から2014年にかけてTerror 404、I Am the Night、Dangerous Daysを発表した。2012〜2013年には、Perturbator、Carpenter Brut、Mega Drive、Dance With The Deadらが並行して、この系統の形を作った。彼はもともとブラックメタルのバンドでギターを弾いていた経歴を持ち、その攻撃性をシンセに移し替えた点が決め手だった。同じくフランスのCarpenter Brut(Franck Hueso)は、名前自体がホラー映画監督ジョン・カーペンターへの言及であり、2012年から2015年にかけて3部作EPを発表、後にバンド編成での演奏でメタルの観客層にも食い込んだ。米国側ではテキサス出身のGost(James Lollar)が、2014年末にBlood Music、2019年にCentury Mediaと契約するなど、メタル産業との接続が進んだ。決定的な普及の契機は2012年のゲームHotline Miamiで、第1作の主要なレベル曲はM.O.O.N.のEPで、PerturbatorやJasper Byrneなどの楽曲も収録され、極端に暴力的なゲーム内容と結び付いて若年層に浸透した。続編(2015年)にはCarpenter Brutなどの新しい作家も加わった。ライブ面では、一部の作家がドラムとギターを加えたバンド編成で演奏しており、Carpenter BrutがHellfest 2023に、PerturbatorがRock am Ring 2017に出演するなど、メタル系のフェスへの出演例もある。この過程で、電子音楽のシーンとメタルのシーンという本来交わらない二つの観客層が接続された点が、このジャンルの最も特異な達成である。近年はサイバーパンクを主題とする映像作品やゲームの音楽としても定着している。
代表曲
- Hydrogen (M|O|O|N)
- Maniac (Carpenter Brut)
- Humans Are Such Easy Prey (Perturbator)
- Anarchy Road (Carpenter Brut)
- She Is Young, She Is Beautiful, She Is Next (Perturbator)
- Lustful Sacraments (Perturbator)
- Behemoth (GosT)
- Out of Body (Dance with the Dead)
- Dangerous Days (Perturbator)
- Neo Tokyo (Perturbator)
- The Wrath of Code (Dan Terminus)
- Night Business (Perturbator)
ルーツ(影響を受けたジャンル)
Synthwave、 Industrial、 Cyberpunk
影響を与えたジャンル
Cyberpunk、 Industrial
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