Dixieland(ディキシーランド)とは
ニューオーリンズで生まれた、ジャズの初期の形態。1人のソリストが目立つのではなく、トランペット・クラリネット・トロンボーンという複数の管楽器が、それぞれ同時に即興演奏を繰り広げながら絡み合う「集団即興」こそが、このスタイルの最大の
ニューオーリンズで生まれた、ジャズの初期の形態。1人のソリストが目立つのではなく、トランペット・クラリネット・トロンボーンという複数の管楽器が、それぞれ同時に即興演奏を繰り広げながら絡み合う「集団即興」こそが、このスタイルの最大の特徴である。テンポは軽快。マーチングバンド由来の陽気な行進曲的ノリと、ブルースの持つ哀愁が同居し、街を練り歩くパレードや祭りの高揚感を音そのものが持っている。後年の洗練されたジャズと比べると素朴で牧歌的な響きだが、その自由な掛け合いの中にこそ、ジャズという音楽が本来持っていた原点の姿がある。編成は通常、旋律を担うトランペット、その周囲を装飾的に飛び回るクラリネット、低音側で骨格を支えるトロンボーンという3管が中心となり、そこにギターまたはバンジョー、チューバまたはベース、ピアノ、ドラムのうち少なくとも2つが加わる。それぞれの楽器に明確な役割分担があるからこそ、全員が同時に即興しても音が団子にならず、絡み合いとして成立する。
成り立ち
20世紀初頭のアメリカ・ニューオーリンズで、複数の文化が地理的に密集していたことによって生まれた。この街はフランス、スペイン、アメリカと支配者が変わり、カリブ海の島々とも人の行き来があったため、フランス系混血のクレオール、アフリカ系の解放奴隷、イタリア系やドイツ系の移民が同じ街に暮らしていた。南北戦争後、軍楽隊が放出した安価な中古の楽器が街に出回ったともよく言われるが、実証は十分でない。葬列で行きは荘重な讃美歌を、帰りは陽気な行進曲を演奏するブラスバンドの習慣、ダンスホールの舞曲、教会の歌、そしてラグタイムのシンコペーションが混ざり合い、複数の管楽器が同時に即興する集団即興の様式が育っていく。伝説的な最初の名手はコルネット奏者のBuddy Boldenだが、彼の演奏の録音は一つも現存せず、1907年に精神を病んで施設に収容され、そのまま生涯を終えた。1897年に市が公認した歓楽街ストーリーヴィルは多くの音楽家に演奏の職を与えたが、1917年に海軍の要請で閉鎖された。閉鎖が音楽家流出の主因とはいえず、多くの音楽家は、より良い賃金・労働条件・人種的な安全を求めて街を出た。同じ1917年、白人5人組のOriginal Dixieland Jass Bandがニューヨークで「Livery Stable Blues」を録音し、これが世界初のジャズのレコードとして大ヒットした。ジャズを生み出したのが黒人であるにもかかわらず、最初に録音され富を得たのが白人バンドだったという事実は、以後のアメリカ音楽産業を貫く構図の始まりでもある。1920年代のシカゴでは、King Oliverが率いたCreole Jazz Bandと、そこから独立したLouis Armstrongが頂点を築き、ArmstrongによるHot FiveとHot Sevenの録音は、集団即興から独奏者の時代への転換を告げた。「ディキシーランド」という呼称は、Original Dixieland Jass Bandにちなんで、1940年代の復興期にファンやレコード会社が使い広めた。ニューオーリンズ系の黒人音楽家には、この語を避けて「ニューオーリンズ・ジャズ」と呼ぶ人も多い。1940年代には、この古い様式を復興させるトラッド・ジャズ運動が起こった。復興運動は、スウィング時代の編曲重視への反動と、ビバップの混沌への反動の両方とされる。Bunk Johnsonの再発見は1938〜39年に始まり、初録音は1942年で、Kid Oryも再発見された。この復興は世界へ広がり、イギリスやヨーロッパ、そして日本でも根強く演奏され続けている。
代表曲
- When the Saints Go Marching In (Louis Armstrong)
- Livery Stable Blues (Original Dixieland Jass Band)
- Muskrat Ramble (Louis Armstrong)
- Tiger Rag (Original Dixieland Jass Band)
- Basin Street Blues (Louis Armstrong)
- Heebie Jeebies (Louis Armstrong)
- Potato Head Blues (Louis Armstrong)
- Struttin' With Some Barbecue (Louis Armstrong)
- Cornet Chop Suey (Louis Armstrong)
- Black Bottom Stomp (Jelly Roll Morton)
- Doctor Jazz (Jelly Roll Morton)
- Dippermouth Blues (King Oliver's Creole Jazz Band)
- Canal Street Blues (King Oliver's Creole Jazz Band)
- Original Dixieland One-Step (Original Dixieland Jass Band)
- At the Jazz Band Ball (Original Dixieland Jass Band)
- High Society (The Dukes of Dixieland)
- Singin' the Blues (Bix Beiderbecke)
- Bourbon Street Parade (Paul Barbarin)
- Tin Roof Blues (New Orleans Rhythm Kings)
- Weary Blues (New Orleans Rhythm Kings)
ルーツ(影響を受けたジャンル)
Jazz、 Ragtime
影響を与えたジャンル
Polka、 Electro Swing
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