Folk Metal(フォークメタル)とは
ヘヴィメタルの編成に、各地の伝統音楽の楽器と旋律をそのまま持ち込んだ音楽である。加えられる楽器はフィドル、ティン・ホイッスル、バグパイプ、アコーディオン、ハーディ・ガーディ、ブズーキ、フィンランドの撥弦楽器カンテレなど地域によって
ヘヴィメタルの編成に、各地の伝統音楽の楽器と旋律をそのまま持ち込んだ音楽である。加えられる楽器はフィドル、ティン・ホイッスル、バグパイプ、アコーディオン、ハーディ・ガーディ、ブズーキ、フィンランドの撥弦楽器カンテレなど地域によって異なり、この楽器の選択がそのままバンドの出身地を示す看板になっている。メロディーは伝統舞曲から借りられることが多く、6/8拍子のジグや2/4拍子の速い舞曲の型が、歪んだギターの刻みの上でそのまま演奏される。音階は自然短音階のほか、第二音を半音下げたフリギア旋法や、東欧や中東に由来する増2度を含む音階が用いられ、この非西洋的な音程の跳躍が独特のエキゾチックな雰囲気を生む。ギターは伝統楽器の旋律を3度や5度で重ねて厚みを出す役割を担い、ドラムは行進や祝祭の踊りを思わせる分かりやすい刻みを保つ。ヴォーカルは咆哮や絶叫を用いる場合と、合唱団のように大勢で歌い上げる場合があり、後者は酒場での斉唱を意識したものである。歌詞は自国の神話、歴史上の戦い、自然崇拝、酒と祝祭を扱い、しばしば母語で歌われる。演奏の場も特徴的で、屋外の大規模なフェスティバルにおいて、聴衆が肩を組んで踊るための音楽として機能している。
成り立ち
1990年、イングランドのニューカッスルでSkycladが結成されたことが出発点の一つとされる(最初期のバンドはSkycladとアイルランドのCruachanとされる)。スラッシュメタルのバンドSabbatを離れたMartin Walkyierが率い、1991年のデビュー作は、フォークメタル最初期の作品の一つとされる(常任のヴァイオリン奏者を迎えたのは1992年の次作)。歌詞は環境破壊や社会批判を扱っており、当初から単なる懐古趣味ではなかった。1990年代半ばにはアイルランドのCruachanがケルトの神話と楽器を持ち込み、この発想が各国へ波及する。最も大きな実りをもたらしたのは北欧、とりわけフィンランドだった。同国にはジャズやフォックストロットに近い2拍子の社交ダンス音楽humppaがあり、Finntrollはこれをブラックメタルと直結させ、トロールの神話を題材にした異形の音楽を作り上げた。Korpiklaaniは酒と森を主題に、Ensiferumは戦記的な壮大さを、Moonsorrowは長大な構成を持ち込み、それぞれ別の方向へ広げた。スイスのEluveitieは、英語を主体に再構成された古代ガリア語の曲も含む歌詞を書き、ハーディ・ガーディやバグパイプを含む大人数の編成を組んで、考古学的な考証を伴う作風を確立した。ロシアのArkonaは女性歌手Mashaを中心にスラヴの民間信仰を扱い、イスラエルのOrphaned Landは中東の楽器と音階を用いて、ユダヤ教、キリスト教、イスラーム教の共存を訴えるという政治的に困難な立場を選んだ。この分野には深刻な問題も伴う。自国の神話と土着信仰を称揚する姿勢は、簡単に民族主義や排外主義と結びつきうるためであり、実際に近接する領域では極右思想を公然と掲げる集団が存在し、フェスティバルからの出演取り消しや論争が繰り返されてきた。多くのバンドはこうした政治性を明確に否定しているが、聴き手の側にそうした含みを読み込む層が一定数存在することは、今も解決していない緊張として残っている。現在では大規模な野外フェスティバルの定番として定着し、聴衆が肩を組んで踊る独特の光景を生み出している。
代表曲
- Vodka (Korpiklaani)
- Inis Mona (Eluveitie)
- Ievan Polkka (Korpiklaani)
- Thousandfold (Eluveitie)
- Rasputin (Turisas)
- Elvenpath (Nightwish)
- Battle Metal (Turisas)
- Tequila (Korpiklaani)
- Trollhammaren (Finntroll)
- To Holmgard and Beyond (Turisas)
- Jaktens tid (Finntroll)
- Nattfödd (Finntroll)
ルーツ(影響を受けたジャンル)
Heavy Metal、 Folk、 Viking Metal、 Khoomei
影響を与えたジャンル
Viking Metal
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