Jam Band(ジャムバンド)とは
録音された作品よりも、その場限りの即興演奏を目的とするロックである。曲はあくまで、即興に入るための足がかりとして扱われ、歌が終わった後に始まる演奏部分が20分、時に40分に及ぶ。この即興は、和音の流れを保ったまま順番にソロを回す型
録音された作品よりも、その場限りの即興演奏を目的とするロックである。曲はあくまで、即興に入るための足がかりとして扱われ、歌が終わった後に始まる演奏部分が20分、時に40分に及ぶ。この即興は、和音の流れを保ったまま順番にソロを回す型と、その流れ自体を離れて全員で未知の場所へ向かう型に大きく分かれ、後者こそがこの分野の醍醐味とされる。演奏者は互いの音を聴きながら、誰がリードするでもなく、曲の調やテンポを変え、時に別の曲へそのまま繋がっていく。ジャンルをまたぐのも当たり前で、一曲の中でブルーグラス、ジャズ、ファンク、レゲエ、現代音楽の要素が次々に現れる。編成はギター、ベース、ドラムに鍵盤楽器を加えたものが基本で、打楽器奏者が複数在籍する場合も多い。音量は過剰にならず、それぞれの楽器の音が聞き分けられるよう気が配られる。決定的なのは公演ごとにセットリストを大きく変えるという原則で、同じ曲でも演奏が毎回変わる。そのため聴き手は複数の公演を追いかけ、録音を交換し、演奏内容を記録して比較する。音楽が商品としてではなく、共有される出来事として存在している点が、この分野を他と分ける最大の特徴である。
成り立ち
雛形を作った代表格は、1965年にカリフォルニア州パロアルトで結成されたGrateful Dead(当時の名はThe Warlocks)である。The Allman Brothers BandやHawkwindも、この分野の先駆に数えられる。彼らはフォークとブルーグラス、ブルースの素養を持つ演奏者の集まりだったが、幻覚剤を用いた集団的な催しの伴奏を務めるうちに、決められた曲を決められた通りに演奏するという発想を捨てた。1970年代を通じて彼らは、録音作品では中程度の成功しか収めなかったが、公演には熱狂的な追随者が生まれ、生活の全てを投げ打って全米を追いかける者たちはデッドヘッズと呼ばれた。彼らの最も重要な決断は、観客による録音を禁じるどころか、1984年に会場内に録音専用の区画(tapers' section)を公式に設けたことである(録音は1970年代から事実上黙認されていた)。テープの交換は無償で行われることが原則とされ、売買は仲間うちのルールとして禁じられた。この、無料の複製が需要を殺すのではなく育てるという実例は、後年インターネット時代の議論において繰り返し引用されることになる。1995年にJerry Garciaが死去してバンドは終わるが、その方法論は既に受け継がれていた。1983年にヴァーモント州の大学で結成されたPhishは、より高度な作曲と演奏技術を持ち込み、1990年代を通じて後継者としての立場を固める。彼らは1999年の年末にフロリダの湿地帯で、大晦日の深夜(午後11時35分〜50分ごろ)から元日の日の出まで約7.5時間、ほぼ休憩なしで演奏し続けるという催しを行い、この分野の伝説となった。同時期にWidespread Panic、String Cheese Incident、moe.といった集団が現れ、Dave Matthews Bandはより歌もの寄りの形で巨大な商業的成功を収める。2002年にテネシー州で始まった大規模な野外祭典Bonnarooは、ジャム・バンドも多く出演する大型フェスの代表例となった(Phishは1996年から自前のフェスを開いている)。批判も根強い。演奏が自己満足的で冗長だという指摘、そして聴衆が白人に偏っているという指摘である。それでも、録音ではなく現場の体験に価値を置くという原則は、後のライブ中心の音楽産業の状況に通じるものだったと見る人もいる。
代表曲
- Ants Marching (Dave Matthews Band)
- Jessica(Allman Brothers Band)
- Dark Star(Grateful Dead)
- Eyes of the World (Grateful Dead)
- Shakedown Street (Grateful Dead)
- You Enjoy Myself(Phish)
- Franklin's Tower (Grateful Dead)
- Tweezer (Phish)
- Wilson (Phish)
- Fire on the Mountain (Grateful Dead)
- Warehouse (Dave Matthews Band)
ルーツ(影響を受けたジャンル)
Psychedelic Rock、 Blues Rock
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