Speednoise(スピードノイズ)とは
スピードコアの極端に速く歪んだキックドラムと、ハーシュノイズ(ノイズだけを聴かせる音楽)の、制御されない全ての音域にわたる轟音を、隔てなく混ぜ合わせた音楽である。通常のダンス音楽ではノイズは効果音として添えられるが、この分野ではノ
スピードコアの極端に速く歪んだキックドラムと、ハーシュノイズ(ノイズだけを聴かせる音楽)の、制御されない全ての音域にわたる轟音を、隔てなく混ぜ合わせた音楽である。通常のダンス音楽ではノイズは効果音として添えられるが、この分野ではノイズが常時鳴り続け、キックはその轟音の中を突き破るように打ち込まれる。テンポは概ね300 BPMを超え、しばしば計測が無意味になるほど不規則で、拍子の感覚そのものが意図的に破壊される。音源にはフィードバックさせたミキサー、壊れたエフェクターの発振、金属を擦る音、コンタクトマイクで拾った物体の摩擦音などが用いられ、それらをクリッピング(音の波の頭を削る処理)させて波形の頭を潰し切ることで、デジタル特有の平坦で刺々しい壁が作られる。音量の変化はほぼ存在せず、始まった瞬間から終わりまで最大音量が維持される。曲の長さは30秒から数十分まで極端に幅があり、構成という概念自体が放棄されている作品も多い。旋律、和声、歌はいずれも存在しない。同じ高速でも、フラッシュコアが音を精緻に設計するのに対し、スピードノイズは制御の放棄と過剰そのものを価値とし、聴くという行為に対する耐久試験に近い性格を持つ。
成り立ち
系譜は2本ある。ひとつは1970年代後半から日本で発展し、1980〜90年代に国際的に知られたジャパノイズで、東京の秋田昌美によるMerzbowや大阪の山崎マゾによるMasonnaが、旋律も構成も持たない全帯域の轟音だけで作品を成立させ、欧米の実験音楽家に強い衝撃を与えた。同時期のイギリスではWilliam Bennett率いるWhitehouseがパワーエレクトロニクスとして、不快さと暴力性を正面から扱う表現を打ち立てていた。もうひとつは1990年代前半から半ばにかけて、オランダ、ドイツ、ベルギーなど欧州のハードコアやガバから派生したスピードコアで(呼称の由来には諸説ある)、こちらはダンスフロアの側から歪みと速度の限界を試していた。両者が交差した場所は一つではない。ドイツ北部のハンブルクでは、ノイズコアからアンビエントまで幅広く扱った実験的なレーベルFischkopf Hamburgの周辺がハードコアテクノの中に実験的な発想を持ち込み、オーストラリアのニューカッスルではMark Newlands主宰のBloody Fist Recordsが、安価な機材による粗く割れた音を積極的に肯定した。ノイズコアは1980年代半ばにハードコアや初期スラッシュコアの周縁から現れており、マサチューセッツ州ニュートン(ボストン近郊)で1988年に結成されたAnal Cuntは、当初はリズムも歌詞も曲名もない「反音楽」を志向した。スピードノイズという呼称は、これらの実践が2000年代のインターネット上で交流する中で使われ始めたとされるが、呼称の起源は不明確で、特定の人物を創始者とする主張はあるものの、検証できていない。作品はCD-Rやカセット、あるいは無償のmp3として数十から数百単位で流通し、ライブは小さなスタジオや倉庫で十数人を相手に行われることがほとんどだった。商業性が完全に欠如していることは弱点であると同時に、検閲も市場の要求も受けないという自由を意味しており、この分野が今日までインターネット上の極小のコミュニティとして途切れずに続いている理由にもなっている。
代表曲
- Staple Tapeworms On My Penis (Passenger of Shit)
- Trendy Unicorn Dung (Passenger of Shit)
- Shittune (Passenger of Shit)
- Wird (Passenger of Shit)
- Listening to Shit (Passenger of Shit)
- Glue Sniffing (Passenger of Shit)
- Humanity Is Worse Than Satan (Darkblack XIII)
- Grave (Darkblack XIII)
- Innocent Soul (Darkblack XIII)
- Overdose (Darkblack XIII)
- Pain (Darkblack XIII)
ルーツ(影響を受けたジャンル)
Speedcore、 Harsh Noise
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