Symphonic Black Metal(シンフォニックブラックメタル)とは
ブラックメタルの高速な演奏と絶叫に、管弦楽の編成を全面的に組み合わせた音楽である。用いられるのは実際の交響楽団の場合もあれば、鍵盤楽器による模擬音の場合もあるが、いずれにせよ弦楽、金管、木管、そして合唱団の響きが、演奏の主要な層と
ブラックメタルの高速な演奏と絶叫に、管弦楽の編成を全面的に組み合わせた音楽である。用いられるのは実際の交響楽団の場合もあれば、鍵盤楽器による模擬音の場合もあるが、いずれにせよ弦楽、金管、木管、そして合唱団の響きが、演奏の主要な層として扱われる。この管弦楽の部分は装飾ではなく、しばしばギターより主導的に旋律と和声を担う。ギターは同じ音を高速で弾き返すトレモロ奏法によって、和音を細かく震わせながら持続的な面を作り、管弦楽の下地となる。ドラムは速いブラストビートで密度を稼ぐことが多い。和声は短調を基本としつつ、映画音楽の語法から借りた、半音ずつ下がっていく重厚な進行も使われ、荘厳さと不吉さを同時に演出する。歌唱は喉を絞った甲高い絶叫が中心だが、そこへ清らかな女性の歌声や男声合唱が対比として配置される、いわゆる美女と野獣の構図が用いられることもある。曲には序曲や間奏曲が挟まれることもある。歌詞は神話、吸血鬼、中世、宇宙的な絶望を扱い、演劇的に語られる。
成り立ち
1990年代前半のノルウェーで確立した第二波のブラックメタルは、粗い録音と反商業的な姿勢を美徳としていた。そこへ管弦楽的な響きを持ち込む試みは、Celtic Frostの1987年の作品、Bulldozerの1988年の作品、Sighの1993年の作品など、Emperor以前にも見られた。その中でもノルウェーのEmperorは先駆的な影響を与えた存在とされ、1994年に発表した作品では、鍵盤楽器による荘厳な響きを全面に押し出し、ブラックメタルが叙事詩的な壮大さを持ちうることを示した。ただしこのバンドの歴史は暗い。構成員のBård Guldvik Eithun(芸名ファウスト)が1992年に同性愛者の男性を殺害し、また別の構成員も教会放火に関与して服役している。ノルウェーのこの時期のシーンが、実際の暴力と犯罪と不可分だったという事実は、その音楽を語るうえで避けて通れない。同じノルウェーのDimmu Borgirは、より映画音楽的な方向を推し進め、2001年の作品で初めて実際の管弦楽を取り入れ、2003年にはプラハのオーケストラと録音した。2007年の作品はブラックメタルとして初めてノルウェーのチャートで1位となった。彼らに対しては、地下的な出自を捨てて大衆に迎合したという批判が絶えないが、同時にこの音楽を世界的な規模へ広げた功績も大きい。イギリスのCradle of Filthは、吸血鬼と19世紀の怪奇文学を主題に据え、女性ヴォーカルを採り入れた。彼らの挑発的な図柄の衣類は各国で問題視され、実際に着用者が逮捕される事件も起きている。並行して、スイスのSamaelやオーストリアのSummoningが、より重厚で緩やかな方向を示した。2000年代以降は制作技術の進歩により、鍵盤による模擬音の質が飛躍的に向上し、少人数でも管弦楽的な音を作れるようになった結果、この様式は世界中へ拡散する。各地に独自の作り手が現れている。
代表曲
- Her Ghost in the Fog (Cradle of Filth)
- Mourning Palace (Dimmu Borgir)
- Progenies of the Great Apocalypse (Dimmu Borgir)
- Spellbound (By the Devil) (Dimmu Borgir)
- Cruelty Brought Thee Orchids (Cradle of Filth)
- Moon in the Scorpio (Limbonic Art)
- Puritania (Dimmu Borgir)
- Bloodstains on the Captain's Log (Carach Angren)
- Ye Entrancemperium (Emperor)
- Dinner at Deviant's Palace (Cradle of Filth)
- From the Cradle to Enslave (Cradle of Filth)
ルーツ(影響を受けたジャンル)
Black Metal、 Symphonic Metal
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