Tango(タンゴ)とは
アルゼンチンとウルグアイのラプラタ川流域で生まれた、緊張と情念の音楽。編成の核はバンドネオンで、これは19世紀のドイツで宗教音楽や当時の大衆音楽のために作られた蛇腹楽器だが、ボタンの配置が不規則で押すときと引くときで音が変わるとい
アルゼンチンとウルグアイのラプラタ川流域で生まれた、緊張と情念の音楽。編成の核はバンドネオンで、これは19世紀のドイツで宗教音楽や当時の大衆音楽のために作られた蛇腹楽器だが、ボタンの配置が不規則で押すときと引くときで音が変わるという難物であり、その息苦しいような音色がタンゴの声となった。標準的な編成はオルケスタ・ティピカと呼ばれ、バンドネオン2台以上、バイオリン二挺以上、ピアノ、コントラバス(フルートを含む場合もある)からなり、初期には2+2の六重奏が標準だった。拍子は4分の2または4分の4で、BPMは110〜130程度。最大の特徴は演奏法にあり、マルカートと呼ばれる各拍を強く踏み込む刻み、そしてシンコペーションで3拍3拍2拍に分割するミロンガ的な型が交互に現れる。弦楽器には特殊奏法が多く、弓の根元を駒の後ろの弦に当ててざらついた打楽器的な音を出すチチャーラ、楽器の胴を叩くゴルペ、弦の上で指を速く滑らせて音を上げるラティゴなど、打楽器を持たない編成で打楽器的な効果を作る工夫が発達した。和声は短調が基本で、増2度を含む音階や半音階的な進行が緊張を生む。歌唱は語りに近く、深い胸声で人生の苦渋を吐き出す。歌詞は喪失、裏切り、老い、故郷、そして街への愛憎を扱う。
成り立ち
19世紀半ば以降、とりわけ1880年代から1890年代にかけて、ブエノスアイレスとモンテビデオの港湾地区で形づくられた。当時この地域には、ヨーロッパ、とりわけイタリアとスペインからの移民が大量に流入しており、住民の大半が男性の独身労働者だった。そこにアフリカ系住民のカンドンベ、キューバ由来のハバネラ、ミロンガ(起源には諸説あり、パンパ説やブラジル由来説などがある)が混ざり合い、この音楽が形成された。当初は貧民街と娼館の音楽であり、上流社会からは卑猥なものとして排斥された。転機は1910年代のパリで、この音楽が社交界の流行となり、逆輸入される形でブエノスアイレスの上流層にも受け入れられた。1917年、Carlos Gardelが Mi Noche Tristeを録音し、それまで器楽が中心だったタンゴに歌の形式を確立した。彼は1890年12月11日にフランスのトゥールーズで生まれたとする説が有力で、2012年に出生記録の控えが見つかって裏づけが強まった(ウルグアイ側は今も異論を唱えている)。その甘い歌声と美貌によりラテンアメリカ全域で絶大な人気を得たが、1935年にコロンビアのメデジンで航空機事故により死去し、伝説となった。1940年代はタンゴの黄金時代と呼ばれ、Aníbal Troilo、Carlos Di Sarli、Osvaldo Pugliese、Juan D'Arienzoといった楽団長がそれぞれ異なる様式を極め、ブエノスアイレスの無数のダンスホールを満たした。Osvaldo Puglieseは共産党員であったため、1939年をはじめ、ペロン政権下の1955年、軍事政権下の1956年または1957年(資料により異なる)などに繰り返し投獄され、その際には楽団が彼のピアノの上に赤いカーネーションを置いて演奏を続けたという逸話が残る(逸話は「そう言われている」程度で、本人が後から現れることも多かったとされる)。1950年代以降、政治的な混乱とロックの流入によりタンゴは急速に衰退した。この状況を打破したのがÁstor Piazzollaで、彼はパリでNadia Boulangerに学んだ後、ジャズとクラシックの語法を持ち込んだヌエボ・タンゴを確立した。しかし伝統派からは激しく糾弾され、街で罵られたり、「タンゴ殺し」と呼ばれたり、バンドネオン2台を交響楽団に入れたコンサート(パリ行き前の1953年とされる)で客席の乱闘が起きたりした。1983年の民政移管後、そして舞台作品『Tango Argentino』の1983年のパリ初演と1985年のブロードウェイ上演などの国際的な成功により、タンゴは再び世界的な認知を得ている。
代表曲
- Por una Cabeza(Carlos Gardel)
- Libertango(Astor Piazzolla)
- Sur (Anibal Troilo)
- Milonga del Ángel (Ástor Piazzolla)
- La Cumparsita(Carlos Gardel)
- El día que me quieras(Carlos Gardel)
- Mi Buenos Aires Querido (Carlos Gardel)
- Volver (Carlos Gardel)
- Balada para un Loco (Roberto Goyeneche & Astor Piazzolla)
- Uno (Mariano Mores)
- El Choclo(Ángel Villoldo)
- Malena (Lucio Demare)
- Vuelvo al Sur (Astor Piazzolla)
- La Yumba (Osvaldo Pugliese)
- Verano Porteño (Ástor Piazzolla)
- Nostalgias (Aníbal Troilo)
- Adiós Nonino (Ástor Piazzolla)
- A Media Luz (Edgardo Donato)
ルーツ(影響を受けたジャンル)
Classical、 Neotango
影響を与えたジャンル
Neotango、 Classical
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