Wobble Bass(ウォブルベース)とは
ダブステップから派生した、ベース音そのものの「うねり」を、曲の主役にしたスタイル。仕組みははっきりしていて、鋸波や矩形波などの倍音の豊かな合成音にローパスフィルターをかけ、そのカットオフ周波数をLFO(低周波発振器)で周期的に上下
ダブステップから派生した、ベース音そのものの「うねり」を、曲の主役にしたスタイル。仕組みははっきりしていて、鋸波や矩形波などの倍音の豊かな合成音にローパスフィルターをかけ、そのカットオフ周波数をLFO(低周波発振器)で周期的に上下させる。フィルターが開くと音が明るく前に出て、閉じるとこもって沈むため、「ワウワウ」「ウォンウォン」と喋るような揺れが生まれる。LFOの速度をテンポに同期させ、4分音符、8分音符、3連符、16分音符と切り替えることで、うねりの細かさそのものがリズムパターンになるのが最大の聴かせどころ。BPMは140前後、ハーフタイムの骨格を持つが、ドロップ後は上物をほぼ捨て、ベースとドラムだけで押し切る。音を作るのに使われたのはNative InstrumentsのMassive(2006年発売)や、後年のXfer RecordsのSerum(2014年発売)といったソフト音源で、これらのプリセットが世界中に同じ音色を広めた。さらに歪み、ビットクラッシャー、フォルマント処理を重ねて人の声のような子音感を与えることも多い。メロディーも和音もほとんど役割を持たず、快感の源は周波数の動きと音量の変化だけという、極端に要素を絞り込んだ音楽である。EDMフェスの巨大なスピーカーで低音が体を叩く体験を前提に設計されている。
成り立ち
うねるベースは、2000年代初頭に南ロンドンで始まったとされるダブステップで一般的な合成技法で、特定の人物が起源とされているわけではない。その中で、Rusko(Christopher Mercer、リーズ生まれ)とCaspa(Gary McCann、西ロンドン出身)が、うねるベースをパーティー向けに前面に押し出して大衆に広めた転換点とされるのが、2007年のFabricLive.37(ロンドンのクラブfabricのミックスCDシリーズ第37巻、2007年12月発売)である。この作品は、それまでのダブステップが持っていた瞑想的な静けさを捨て、ベースの揺れそのものを娯楽として提示した点で決定的だった。この路線は米国で広く受け入れられ、2011年に米国市場で大きく伸びた。2010年前後、ロサンゼルスを拠点としたSkrillex(Sonny Moore、元From First to Last のボーカリスト)が、EPのScary Monsters and Nice Sprites(2010年)で、うねるベースをさらに歪ませ、細かく切り刻み、金属的な叫びのような音に加工した。この音は米国では「ブロステップ」と呼ばれた。この語は2009年に皮肉として作られたものである。技術面では、ソフトシンセMassive(2006年発売)が普及したことが決定的で、フィルターとLFOを直感的に結び付けられる操作画面のおかげで、専門知識のない若い制作者が短期間で同種の音を作れるようになった。YouTubeにはプリセット配布と制作解説の動画が大量に投稿され、音の作り方が公開情報として共有された結果、爆発的に模倣者が増えた。反面、同じプリセットが濫用されたことで音色の似通ったものになることが進み、2013年前後からは、EDMトラップなどへ流れが移った。現在は一つの独立ジャンルというより、ダブステップやEDM全般で用いられる定番の技法として定着している。
代表曲
- Gold Dust (DJ Fresh)
- Bass Cannon (Flux Pavilion)
- Woo Boost (Rusko)
- Cockney Thug (Caspa & Rusko)
- Watch Out (Doctor P)
- Everyday (Rusko)
- Somebody to Love (Rusko)
- Where's My Money (Caspa)
- Sweet Shop (Doctor P)
- Jahova (Rusko)
- Geordie Racer (Caspa)
- Marmite (Caspa)
ルーツ(影響を受けたジャンル)
Dubstep
影響を与えたジャンル
Dubstep
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