Baroque Pop(バロックポップ)とは
1960年代半ばに現れた、ロックバンドの編成へ西洋クラシック音楽、とくにバロック音楽の語法を持ち込んだポップス。名前のとおり、チェンバロの粒立ったアルペジオ、弦楽四重奏やそれ以上の弦楽器群、オーボエ、フルートといった木管やフレンチ
1960年代半ばに現れた、ロックバンドの編成へ西洋クラシック音楽、とくにバロック音楽の語法を持ち込んだポップス。名前のとおり、チェンバロの粒立ったアルペジオ、弦楽四重奏やそれ以上の弦楽器群、オーボエ、フルートといった木管やフレンチホルンが(ピッコロトランペットの高音が使われる例もある)、ギター・ベース・ドラムと同じ重みで配置される。単に管弦楽を後ろへ敷いた装飾ではなく、ハープシコード、弦、管などクラシックの要素をロックに融合している点が特徴である。曲の長さは3分前後のものが多いが、例外もある。ヴォーカルは力任せに張り上げず、抑制された歌唱と、3度や6度で重ねる緻密なコーラスが好まれる。歌詞は、若者の恋愛を扱う場合でも、憂鬱、喪失、時間の経過といった主題を文学的で内省的な言葉づかいで書くことが多い。同時期のサイケデリック・ロックが音響の逸脱へ向かったのに対し、バロックポップは形式の緻密さと室内楽的な繊細さへ向かった点で対照的だと語られることが多い。
成り立ち
1966年前後、ロックがシングル中心の若者向け娯楽から、アルバム単位で聴かれる芸術表現へと変質していく過渡期に生まれた。The Beach Boysのブライアン・ウィルソンが制作したアルバム『Pet Sounds』(1966)は、複雑な和声とスタジオでの緻密な音の重ね合わせによって、ポップスの表現の可能性を大きく押し広げた作品として、このジャンルの原型として、後年そう位置づけられることがある(当時のプレスは「baroque」と呼んでいない)。同時期のThe Beatlesも、『Revolver』(1966)収録の「Eleanor Rigby」で弦楽八重奏のみを伴奏に用いるなど、同様の方向性を示していた。両者は友好的な競争関係にあり、互いの作品に刺激を受け合っていた(Pet SoundsがRevolverに与えた影響には議論がある)。その競争がこの時期のポップスの急速な高度化を推し進めた。The Left Bankeの「Walk Away Renée」(1966)は、チェンバロの音色を前面に押し出した初期の代表曲であり、「バロック・ロック」(baroque rock)はこのバンドのプロモーション資料で使われたとされる語で(ただし1965年にはBeatlesをめぐって同じ語が使われたとする説もある)、音楽プレスは「Bach-rock」「baroque rock」「baroque pop」とも呼んだ。The Zombiesのアルバム『Odessey and Oracle』(1968)は発売当初ほとんど売れず、バンドはすでに解散していたが、後年高く再評価され、このジャンルの隠れた傑作として広く知られるようになった。Procol Harumの「A Whiter Shade of Pale」(1967)は、J.S.バッハの楽曲を思わせるオルガンの旋律で世界的な大ヒットとなった。2000年代以降は、Arcade FireやSufjan Stevensがバロックポップと形容されることがあり、Fleet Foxesもバロックポップ的と評された例がある。1990年代から2010年代には、Divine Comedyなどによる復興も見られた。
代表曲
- Penny Lane (The Beatles)
- A Whiter Shade of Pale (Procol Harum)
- Eleanor Rigby (The Beatles)
- Wichita Lineman (Glen Campbell)
- Here, There and Everywhere (The Beatles)
- Time of the Season (The Zombies)
- Good Vibrations (The Beach Boys)
- God Only Knows (The Beach Boys)
- Wouldn't It Be Nice (The Beach Boys)
- Walk Away Renée (The Left Banke)
- Lady Jane (The Rolling Stones)
- Alone Again Or (Love)
- MacArthur Park (Richard Harris)
- Itchycoo Park (Small Faces)
- Caroline, No (The Beach Boys)
- The Air That I Breathe (The Hollies)
- Scarborough Fair/Canticle (Simon & Garfunkel)
- Pretty Ballerina (The Left Banke)
- Nights in White Satin (The Moody Blues)
ルーツ(影響を受けたジャンル)
Classical、 Pop、 Baroque
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