Bedroom Pop(ベッドルームポップ)とは
2010年代に広く定着した、自室で一人が完結させる制作環境から生まれたポップスである(「ベッドルーム・ポップ」という語自体は、2006年のニューヨーク・タイムズの記事にすでに見られる)。名称はそのまま制作の場所を指す。音の質感が最
2010年代に広く定着した、自室で一人が完結させる制作環境から生まれたポップスである(「ベッドルーム・ポップ」という語自体は、2006年のニューヨーク・タイムズの記事にすでに見られる)。名称はそのまま制作の場所を指す。音の質感が最大の特徴で、全体が柔らかく、輪郭が丸められている。確認できる特徴は、自宅制作・簡素な編成・息の多い小さな歌唱である。低音は打ち込みか、素朴に弾かれたベースで、旋律的に動く。歌唱が決定的で、マイクに極めて近づいて、囁くように、息の音が聞こえるほどの小さな音量で歌われる。この物理的な近さが親密さを生む。歌詞は片思い、自意識、退屈な日常、そして曖昧な不安を扱い、日記のような具体性を持つ。
成り立ち
2000年代前半(2004年の GarageBand など)に宅録環境が整った。パソコンに標準で付属する制作ソフトがあれば、専門的な知識がなくても多重録音が可能になったのである。ローファイと近接・同一視される議論が一般的で、「磨かれた音」とは言い切れない。流通の条件も変わった。作品を音楽投稿サイトや動画共有サイトへ置けば、レコード会社の選別を経ずに世界中の聴き手へ届く。決定的な事例は2017年である。アメリカのClairoが、自室でパソコンの内蔵カメラに向かって歌う様子を撮った簡素な動画を投稿したところ、のちに1億回を超えて再生される(2024年時点で1億1000万回超)という事態が起きた。制作費はほぼ零であり、それでも国際的な人気が生まれるという事実は、産業の構造そのものへの問いを含んでいた。同時に彼女の場合、父親が靴ブランドConverseの最高マーケティング責任者(2007〜2016年)を務め、のちに広告代理店の社長となっていたことが知られ、これは自然発生ではなく仕組まれたものではないかという疑惑が持ち上がった(「仕込み」論は否定しているが、父の人脈が契約に寄与したことは報道されており、本人も特権を認めている)。この論争は、無名の若者が自然に発見されるという物語が、どこまで本当なのかという問題を可視化した。この分野の作り手は国際的である。ノルウェー・ベルゲン生まれ・育ちでチリ出身の両親を持つBoy Pablo、メキシコ系アメリカ人のCuco、フィリピンのイロイロ市生まれで3歳で英国に移住したBeabadoobee、ノルウェーのGirl in Redなど、出身や背景の異なる例が多い。2020年前後には短編動画の流行がこの傾向をさらに加速させた。均質化批判は一部で見られる。制作の民主化という点での意義は大きい。
代表曲
- Heather (Conan Gray)
- Best Friend (Rex Orange County)
- Lo Que Siento (Cuco)
- girls (girl in red)
- Sunflower (Rex Orange County)
- Everytime (Boy Pablo)
- prom dress (mxmtoon)
- Loving Is Easy (Rex Orange County)
- I Wanna Be Your Girlfriend (girl in red)
- Losing You (Boy Pablo)
- Coffee (beabadoobee)
- Prune, You Talk Funny (Gus Dapperton)
- Tailwhip (Men I Trust)
- Goodie Bag (Still Woozy)
- Juna (Clairo)
- Can I Call You Tonight? (Dayglow)
- Harvey (Her's)
- Flaming Hot Cheetos (Clairo)
- Pretty Girl (Clairo)
- Get By (Still Woozy)
- Sofia (Clairo)
ルーツ(影響を受けたジャンル)
Indie Pop、 Lo-fi
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