Doo-Wop(ドゥーワップ)とは
男声を中心とした少人数のグループ(女性グループもあった)が、伴奏を最小限にして人間の声だけで和声を組み上げる歌もの。編成はリードを取るテナー、その上をファルセットで飾るファースト・テナー、内声を埋めるバリトン、そして一番下でブン、
男声を中心とした少人数のグループ(女性グループもあった)が、伴奏を最小限にして人間の声だけで和声を組み上げる歌もの。編成はリードを取るテナー、その上をファルセットで飾るファースト・テナー、内声を埋めるバリトン、そして一番下でブン、ブンと単音を跳ねさせるベースという役割分担が定型で、ジャンル名の「doo-wop」はナンセンス音節で、語が活字になったのは1961年とされる。歌詞のない部分ではドゥーワップ、シュブーム、ディップディップディップといった意味を持たない音節を全員で刻み、それがそのまま伴奏の役目を果たす。和音進行は、トニックから6度、4度、5度へと戻るいわゆる50年代進行が使われる。I–vi–IV–Vは古くから存在する進行で、ドゥーワップで特に多用されたためこう呼ばれる。ピアノは三連符を細かく刻み、テナーサックスがブリッジで一節吹き、ギターとドラムは音量を絞って輪郭を支えるだけに留まる。テンポは、ゆったり揺れるバラード型と、はねるリズムで踊らせるジャンプ型の二種に大きく分かれる。練習と披露の場は街角の外灯の下、地下鉄の通路、教会の石段など、声がよく響く場所で、マイクも増幅装置も要らないことが、金のない若者たちに開かれた音楽であった理由でもある。
成り立ち
源流は1930年代から40年代にかけて活動したThe Ink SpotsやThe Mills Brothersといった黒人ボーカルグループと、教会で歌われていたゴスペル・カルテットにある。第二次大戦後、ニューヨークのハーレム、ブロンクス、フィラデルフィア、ボルティモア、シカゴの黒人居住区で、レコードを買う金も楽器を買う金もない10代の少年たちが街角に集まり、ゴスペルの和声を恋の歌に置き換えて歌い始めた。1940年代後半(1946〜48年と資料により異なる)に結成され、1948年に最初の録音をしたThe Orioles、1953年の『Gee』を出したThe Crows、同年の『Money Honey』のThe Driftersが初期の代表格で、白人の若者にも広がる重要な曲となったのは1954年、ブロンクスで1951年に結成されたグループThe Chordsが放った『Sh-Boom』だった。この曲が白人の若者にも売れたことで、黒人グループの曲を白人グループが録り直して発売するカバー商法が横行し、The Crew-Cutsによる『Sh-Boom』のカバーが本家を押しのけて全米一位になるという事態も起きた。ラジオでは白人DJのAlan Freedがこの音楽を積極的にかけ、ロックンロールという呼び名を広めた。1956年のFrankie Lymon and the Teenagersの『Why Do Fools Fall in Love』は当時13歳の少年が歌い大ヒットしたが、Lymonは麻薬に溺れて25歳で亡くなり、権利をめぐる裁判が、死後約20年後の1986年から1990年代まで続いた。ドゥーワップ黄金期はイタリア系やプエルトリコ系の若者にも広がり、Dion and the Belmontsといった白人グループも生んだ。1961年には、1959年にピッツバーグで結成された多人種のグループThe Marcelsが『Blue Moon』を全米と英国で1位にした。だが1963年頃、モータウンやフィル・スペクターの厚い制作と、翌年のビートルズを筆頭とするブリティッシュ・インヴェイジョンに押されて主流から退場する。ただし消滅したわけではなく、1970年代以降は懐メロ興行やアカペラのコンテストとして生き延び、コーラスの組み立て方は後のソウル、ソフトロック、そして現代のアカペラ集団にまで受け継がれている。
代表曲
- Only You (The Platters)
- Why Do Fools Fall in Love (Frankie Lymon & the Teenagers)
- Smoke Gets in Your Eyes (The Platters)
- I Only Have Eyes for You (The Flamingos)
- A Teenager in Love (Dion and the Belmonts)
- In the Still of the Night (The Five Satins)
- Sixty Minute Man (Billy Ward and His Dominoes)
- Speedo (The Cadillacs)
- Get a Job (The Silhouettes)
- Mr. Blue (The Fleetwoods)
- Runaround Sue (Dion)
- The Great Pretender (The Platters)
- Earth Angel (The Penguins)
- Duke of Earl (Gene Chandler)
- Little Darlin' (The Diamonds)
- Rama Lama Ding Dong (The Edsels)
- Could This Be Magic (The Dubs)
- Story Untold (The Nutmegs)
- Crying in the Chapel (The Orioles)
ルーツ(影響を受けたジャンル)
Rock 'n' Roll、 Barbershop、 A cappella
影響を与えたジャンル
Soul、 Rock 'n' Roll、 A cappella、 Merseybeat、 Christmas music
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