Soul(ソウル)とは
教会で培われたゴスペルの歌唱技術を、そのまま世俗的な恋愛や生活の歌に持ち込んだ音楽。最大の楽器は歌手の声そのもので、一つの音節を複数の音程で装飾するメリスマ、絞り出すようなグロウル、裏声へ跳ね上がるファルセット、語尾を掠れさせるラ
教会で培われたゴスペルの歌唱技術を、そのまま世俗的な恋愛や生活の歌に持ち込んだ音楽。最大の楽器は歌手の声そのもので、一つの音節を複数の音程で装飾するメリスマ、絞り出すようなグロウル、裏声へ跳ね上がるファルセット、語尾を掠れさせるラスプといった技法が惜しみなく使われる。牧師と会衆のやり取りに由来するコール・アンド・レスポンスが曲の骨格に組み込まれ、リードとバックコーラスが掛け合いながら熱を上げていく。伴奏はハモンドB-3オルガンのレスリースピーカーが生む揺れた音色、テレキャスターのカッティング、ウォーキングとシンコペーションを混ぜたエレクトリックベース、そしてスネアの2拍4拍を強く叩くバックビートが基本。テンポは60〜120BPM程度で、バラードでは8分音符の3連符(12/8的なフィール)を刻むピアノが情感を支える。管楽器のセクションはテナーサックスとトランペットが同度やオクターブでリフを吹き、歌の合間を埋める。和声はドミナント7thやサブドミナント・マイナーを多用し、ブルーノートが旋律に影を落とす。歌詞は失恋、欲望、貧困、誇りといった生身の主題を扱い、抽象に逃げない。ゴスペルが神に向ける言葉をそのまま恋人に向け替えた、という構造がソウルの本質であり、後のコンテンポラリーR&Bやファンクが受け継ぐ土台になった。
成り立ち
1950年代後半〜1960年代初頭のアメリカ南部と中西部で、ゴスペル歌手が教会を離れて世俗の音楽へ移ることで生まれた。Ray Charlesはソウルの普及者・原型の一つとしてしばしば挙げられ、1954年の「I Got a Woman」は、ゴスペルのSouthern Tonesが1954年に録音した「It Must Be Jesus」(クレジットはBob King名義とする記述がある)を元に、神ではなく女性への賛歌へと置き換えたものだった。教会音楽を色恋に流用する行為は聖職者から冒涜と激しく非難され、Charlesは長く批判に晒された。Sam CookeはゴスペルグループThe Soul Stirrersの看板歌手だったが、1956〜57年に世俗歌手へ転向すると熱心な信者のファンから裏切り者と罵られ、それでも「You Send Me」で全米1位を獲得した。1960年代に入るとレーベルごとに個性が分かれる。デトロイトのMotownはBerry Gordy Jr.が自動車工場の流れ作業を模した制作体制を敷き、Holland-Dozier-Hollandの作曲チームとThe Funk Brothersの演奏で洗練されたポップ寄りのサウンドを量産した。対してメンフィスのStax Recordsは、Booker T. & the M.G.'sという白人と黒人の混成バンドを専属に据え、譜面を使わず、スタジオ内で即興的にアレンジを固める制作方法でOtis ReddingやSam & Daveを送り出した。アラバマ州のFAME Studiosでは白人のリズムセクションが黒人歌手を支え、Aretha Franklinの1967年「I Never Loved a Man (The Way I Love You)」が録音された。法的には禁止されていたが、慣行と社会的圧力として人種隔離が残る土地で白人と黒人が同じ部屋で演奏することは、それ自体が政治的な行為だった。公民権運動の高まりとともにソウルは黒人の誇りを表現する媒体となり、James Brownの1968年「Say It Loud - I'm Black and I'm Proud」がその象徴となる。しかし1968年のMartin Luther King Jr.暗殺はメンフィスで起き、Stax内部の人種間の信頼にも亀裂を生んだ。1970年代にはMarvin Gayeの「What's Going On」やCurtis Mayfieldがベトナム戦争や都市の貧困を歌う社会派の路線を確立する一方、フィラデルフィアのGamble & Huffが弦楽器を重ねたフィリーソウルを作り、それがディスコへ流れ込んだ。1980年代以降はコンテンポラリーR&Bへ形を変え、1990年代にはネオソウルとして生演奏の質感が回帰した。
代表曲
- Sittin' On The Dock of the Bay (Otis Redding)
- Respect (Aretha Franklin)
- What's Going On (Marvin Gaye)
- When a Man Loves a Woman (Percy Sledge)
- Try a Little Tenderness (Otis Redding)
- I Say a Little Prayer (Aretha Franklin)
- Chain of Fools (Aretha Franklin)
- In the Midnight Hour (Wilson Pickett)
- Think (Aretha Franklin)
- I Never Loved a Man (The Way I Love You) (Aretha Franklin)
- These Arms of Mine (Otis Redding)
- I've Been Loving You Too Long (Otis Redding)
- Bring It On Home to Me (Sam Cooke)
- Cupid (Sam Cooke)
- Soul Man (Sam & Dave)
- Move On Up (Curtis Mayfield)
- Green Onions (Booker T. & the MG's)
- Knock on Wood (Eddie Floyd)
- Sweet Soul Music (Arthur Conley)
- Tired of Being Alone (Al Green)
- Mr. Big Stuff (Jean Knight)
- Who's Making Love (Johnnie Taylor)
ルーツ(影響を受けたジャンル)
Jazz、 Doo-Wop、 Blues、 Funk、 Disco、 Motown、 Neo Soul、 Liquid DnB
影響を与えたジャンル
Funk、 J-POP、 Pop、 Smooth Soul、 Latin R&B、 Trap Soul、 Hip-Hop Soul、 New Jack Swing
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