Liquid DnB(リキッドドラムアンドベース)とは
ドラムンベースの中で、メロディーと和音の美しさを前面に出した系統。テンポは170〜174BPM前後で、ドラムンベース標準の速度を保つ。土台は同じく高速のブレイクビーツと半分の速さで進む低音だが、音色と感情の作り方が根本的に違う。ド
ドラムンベースの中で、メロディーと和音の美しさを前面に出した系統。テンポは170〜174BPM前後で、ドラムンベース標準の速度を保つ。土台は同じく高速のブレイクビーツと半分の速さで進む低音だが、音色と感情の作り方が根本的に違う。ドラムは切り刻まれた質感より、なめらかで流れるような繋がりが重視され、シンバルとハイハットの細かい刻みが水面のような連続感を作る。名称のliquidについて、命名者のFabioは、Calibreの音の「流れ(flow)」が液体のように思えたと説明している。ヒップホップグループTha Alkaholiksの「Likwit」から取ったと報じる記事もある。ベースは歪みのない丸い正弦波に近い音で、低域を柔らかく支え、メロディーのように動く。上に重ねる音がいちばんの特徴で、Fender Rhodesのエレクトリックピアノ、弦楽器の持続音、ジャズの和音、そしてソウルの歌唱が重ねられる。和音はメジャーセブンス、マイナーナインス、11thといった付加音を含む豊かな響きが用いられ、これがこの系統の温かさを生む。ヴォーカルはソウルやR&Bの伸びやかな歌唱で、しばしば楽曲の中心に据えられる。歌詞は愛、希望、自省といった穏やかな主題。曲の構成は起伏が緩やかで、ブレイクダウンでの落差より、要素の緩やかな出入りによって進む。ニューロファンクの機械的な暴力性や、ジャングルの荒々しさとは対極に位置し、同じテンポでありながら情緒がまったく異なる点が、このジャンルの面白さになっている。
成り立ち
1990年代後半のイギリスで、ドラムンベースが暗く攻撃的な方向(テックステップ)へ進む中、その反動として生まれた。直接の先行者はLTJ Bukem(本名Danny Williamson)で、彼は1993年前後から、ジャングルの荒々しさとは対照的な、アンビエントとジャズを取り込んだ滑らかな音を発表していた。1992年の「Demon's Theme」は荒いブレイクと滑らかな要素が同居する曲でアトモスフェリック系の原点とされ(作曲は1990〜91年に遡るという記述もある)、1995年の「Horizons」とともに代表作で、彼が1991年に設立したレーベルGood Lookingと、1996年から始まった編集盤シリーズ「Logical Progression」が、この方向をきちんと形にした。ロンドンのクラブSpeedが1994年にBukemとFabio によって始められ、ジャズの影響を受けた穏やかな側面を扱う、洗練された雰囲気の場になった。この時期の呼称はインテリジェント・ドラムンベースやアトモスフェリック・ドラムンベースで、liquid funkという語が定着するのは2000年代前半である。この語を広めたのはFabioで、彼が2000年に発表した編集盤「Liquid Funk」がその起点とされる。「Liquid Funk」は、ハウスやディスコなどの影響を持つ作品だった。2000年代に入るとこの系統は大きく成長する。中心となった作家はHigh Contrast(ウェールズのLincoln Barrett)、Calibre(北アイルランドのDominick Martin)、Netsky(ベルギー)、London Elektricity、Logistics、Nu:Tone。レーベルではHospital Records(1996年設立)が大きな役割を果たし、この分野の商業的な中心となった。同レーベルはHospitalityというイベントを世界各地で開催し、聴衆を大きく広げた。批判もある。ドラムンベースの本来の攻撃性と地下性を失い、聴きやすさに寄りすぎているという指摘が、より硬派な系統の側から繰り返し向けられてきた。Fabio自身も、この系統が「liquid-by-numbers」(型どおり)になり、刺激を失ったと述べている。一方でこの系統は、ドラムンベースを世界的に広める役割を果たした。ヨーロッパ大陸ではオランダ(Liquicity)やベルギー(Netsky)、そしてブラジル(MarkyやPatife)などで大きな支持を得ている。2010年代以降はさらに細分化が進み、より歌もの寄りのものと、ジャズやソウルの生演奏を取り入れたものに分かれた。近年はドラムンベース全体の世界的な復興の中で、この系統が入り口として機能している。
代表曲
- Rio (Netsky)
- Come Alive(Netsky)
- Lost in this world (Netsky)
- Even If(Calibre)
- Return of Forever (High Contrast)
- Moving with You (Netsky)
- Just One Second (London Elektricity)
- Racing Green (High Contrast)
- Together (Logistics)
- Second Sun (Calibre)
- Billion Dollar Gravy(London Elektricity)
- Shine (Fred V & Grafix)
ルーツ(影響を受けたジャンル)
Drum and Bass、 Soul、 Jazz Fusion
影響を与えたジャンル
Drum and Bass、 Soul、 Jazz Fusion
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