Neo Soul(ネオソウル)とは
打ち込みの正確なグルーヴが標準になった1990年代のR&Bに対し、あえて生演奏の微妙なもたつきや揺れを残したソウル。鍵盤はフェンダー・ローズやウーリッツァーの電気ピアノ、ハモンドB-3オルガン、クラビネットといった、1950〜60
打ち込みの正確なグルーヴが標準になった1990年代のR&Bに対し、あえて生演奏の微妙なもたつきや揺れを残したソウル。鍵盤はフェンダー・ローズやウーリッツァーの電気ピアノ、ハモンドB-3オルガン、クラビネットといった、1950〜60年代に登場し1970年代のソウルやファンクで定着した楽器が好まれ、丸く芯のある音で和音を敷く。和声はジャズ由来で、9度、11度、13度を重ねたテンションコードや、予想を裏切る借用和音が当たり前に使われ、単純な三和音で終わることが少ない。リズムの核はドラムで、機械の刻む格子から意図的に数十ミリ秒ずらして叩く、いわゆるよろけたビートが特徴になる。ベースは指弾きのエレキベースやウッドベースで、拍の頭を微妙に遅らせて粘りを出す。ボーカルは装飾を延々と重ねる技巧的な歌い回しを抑え、耳元で語りかけるような近い距離感で歌われ、多重録音した自分の声を分厚く重ねて和音を作る手法も多い。歌詞は恋愛だけでなく、自尊心、精神性、黒人としての来歴、日常の細部、社会への違和感まで広がる。曲は四分を超えることが珍しくなく、後半で長い即興のやりとりに突入する構成も好まれる。同時代の華やかなコンテンポラリーR&Bと比べると、音数は少なく、低音は太く、全体に暗めで湿った質感に仕上げられる。
成り立ち
呼び名を作ったのは音楽業界のKedar Massenburgで(本人は1995年、まだマネージャーだった時期に作ったと述べている。のちに1997〜2004年にモータウンの社長を務めた)、自分が手がけたD'AngeloやErykah Baduを売り込む言葉として1990年代半ば〜後半に使い始めた。音の先駆けは、1990年に登場したイギリスのOmarや、アメリカのTony! Toni! Toné!、Meshell Ndegeocelloの『Plantation Lullabies』(1993)あたりに既にあったが、決定的だったのは1995年のD'Angeloのデビュー作『Brown Sugar』である。ヴァージニア州リッチモンドの牧師の家に生まれた彼は、教会のオルガンで育ち、Princeの「書き、制作し、演奏する」姿勢の影響を受けて、自ら多くの楽器を演奏し、制作を主導した(共同制作者もいた)。1997年にはテキサス州ダラス出身のErykah Baduが『Baduizm』を発表し、頭に巻いた大きな布とジャズ的な歌唱で、それまでのR&B歌手像を書き換えた。フィラデルフィアでは、The Rootsが後押しした女性アーティストのためのジャム・セッションBlack Lily(Five Spot)が人材の交差点となり、ドラムのAhmir Questlove ThompsonがD'Angelo、Common、Bilalらをつないだ。Soulquariansの一員だった、デトロイト出身のプロデューサーJ Dillaが、クオンタイズを切って手で置いたずれたドラムを持ち込み、この揺れが世代全体の基準になった。2000年、D'Angeloが前作から5年ぶりに、約4年のセッションを経て完成させた『Voodoo』は、ニューヨークのエレクトリック・レディ・スタジオで長時間の即興を録りためて編集した作品で、ジャンルの頂点とされる。しかし同作の『Untitled (How Does It Feel)』の裸体を映したビデオが彼を性的な見世物として消費させ、本人は新作が出なかった約14年間、公の場から遠ざかった(2012年にライブ復帰)。性的なイメージへの不快感や友人の自殺、依存症などが重なったとされる。その空白期、Jill Scott、Musiq Soulchild、Angie Stone、Anthony Hamiltonらが系譜をつなぎ、2010年代にはRobert Glasper、Hiatus Kaiyote、そしてKendrick Lamarの『To Pimp a Butterfly』(2015)にその語法が流れ込んだ。2014年、D'Angeloは警官による黒人殺害への抗議のさなかに『Black Messiah』を突然発表し、復帰を果たした。
代表曲
- Get You (Daniel Caesar)
- Love Galore (SZA)
- Ordinary People (John Legend)
- You Got Me (The Roots feat. Erykah Badu)
- Didn't Cha Know (Erykah Badu)
- Bag Lady (Erykah Badu)
- Next Lifetime (Erykah Badu)
- Ready for Love (India.Arie)
- Brown Skin (India.Arie)
- A Long Walk (Jill Scott)
- Brown Sugar (D'Angelo)
- Tyrone (Erykah Badu)
- Send It On (D'Angelo)
- Whatever (Jill Scott)
- Spanish Joint (D'Angelo)
- He Loves Me (Lyzel in E Flat) (Jill Scott)
- The Way (Jill Scott)
- Gimme (Jill Scott)
ルーツ(影響を受けたジャンル)
Soul、 Hip Hop、 Hip-Hop Soul、 Contemporary R&B、 Jazz Funk
影響を与えたジャンル
Alternative R&B、 Soul、 Hip-Hop Soul、 K-R&B
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