Smooth Soul(スムースソウル)とは
1970年代前半に完成した、角を丸く削って、なめらかさを追い求めたソウル。テンポは毎分70から95拍程度と遅めで、ドラムは強く叩かず、ブラシやリムショットで柔らかく置かれる。編成はストリングスセクションが主役級の役割を果たし、高音
1970年代前半に完成した、角を丸く削って、なめらかさを追い求めたソウル。テンポは毎分70から95拍程度と遅めで、ドラムは強く叩かず、ブラシやリムショットで柔らかく置かれる。編成はストリングスセクションが主役級の役割を果たし、高音の弦が長く伸びる音と、ゆるやかな上下の動きで全体を包む。そこにフルート、フレンチホルン、ハープ、ビブラフォンといった、輪郭の柔らかい楽器が加わる。ギターはワウペダルを浅くかけて16分音符を刻むか、コーラスのかかったクリーントーンで和音を伸ばす。ベースは音数を抑えて長い音を弾く。和音はジャズの影響でメジャーセブンスやナインスが多く、半音で滑る内声の動きが甘さを生む。歌い方にいちばんの特徴があり、張り上げるゴスペル的な絶唱を避け、ファルセットを多用してささやくように歌う。男性グループの場合は、リードのファルセットと、その下に敷かれた滑らかな3声のコーラス、そして曲間に挟まれる語りが定番である。歌詞は愛の告白、別離の悲しみ、和解の願いが中心で、性的な暗示も上品な比喩に包まれる。同じ時代のサザンソウルが汗と叫びを持ち味にしたのに対し、こちらは徹底して洗練と静けさを価値とし、家庭の居間や高級な夜の店で鳴らされることを想定して作られている。
成り立ち
この様式が固まったのは1960年代末から70年代前半のアメリカで、フィラデルフィアやモータウンなど複数の拠点で発展した。フィラデルフィアでは、作曲・制作の組であるKenny GambleとLeon Huffが1971年にレーベルPhiladelphia International Recordsを設立し、専属スタジオバンドMFSBを擁して、弦とホーンを厚く重ねた音を量産した。The O'Jays、Harold Melvin and the Blue Notes(1972年に所属)といったグループがここから出た。同じフィラデルフィアでも、制作者・編曲家のThom Bellは別系統で、Delfonics(Philly Groove)やStylistics(Avco)を手がけ、フレンチホルン、オーボエ、ハープなどを編曲に取り入れた。シカゴ・ソウルの流れからは、Curtis Mayfieldが1970年にImpressionsを離れて独立し、社会性の強い作品を出した。ロサンゼルスではBarry Whiteが1973年、40人編成のLove Unlimited Orchestraを従え、低い語りと厚い弦による色っぽい様式を作り上げた。背景には技術的な条件があった。多重録音のトラック数が増え、弦を何度も重ねて録れるようになったこと、そしてFM放送の普及により、音質のよい落ち着いた音楽を流す局が増えたことである。社会的には、公民権運動の高揚が一段落し、黒人中産階級が拡大した時期にあたり、闘争よりも豊かさと親密さを描く音楽が求められた。この様式はそのまま1970年代後半のディスコとクワイエット・ストームへ流れ込み、Smokey Robinsonの1975年の同名曲がその呼び名の由来となった。1980年代以降はラジオの深夜番組の定番となり、1990年代のヒップホップでもサンプリングの素材として使われた。
代表曲
- Never Too Much(Luther Vandross)
- Let's Stay Together (Al Green)
- Untitled (How Does It Feel)(D'Angelo)
- Rapture(Anita Baker)
- Angel (Anita Baker)
- How Can You Mend a Broken Heart (Al Green)
- Think About You (Luther Vandross)
- Love and Happiness (Al Green)
- Sweet Love(Anita Baker)
- Anyone Who Had a Heart (Luther Vandross)
- If This World Were Mine (Luther Vandross)
ルーツ(影響を受けたジャンル)
Soul、 Philadelphia Soul
影響を与えたジャンル
Quiet Storm
地図でSmooth Soul(スムースソウル)のルーツをたどるには、JavaScriptを有効にして 音楽ジャンルルーツ辞典 を開いてください。