Futurepop(フューチャーポップ)とは
シンセポップの美しく覚えやすい旋律と、EBMの硬質なビート、そしてトランスの壮大な広がりを組み合わせた、ゴシック/インダストリアル系のダンス音楽。キックは四つ打ちで、その裏にオフビートのベースが入るトランス由来の推進力を持つ。上物
シンセポップの美しく覚えやすい旋律と、EBMの硬質なビート、そしてトランスの壮大な広がりを組み合わせた、ゴシック/インダストリアル系のダンス音楽。キックは四つ打ちで、その裏にオフビートのベースが入るトランス由来の推進力を持つ。上物(メロディや和音を担う音)には、リバーブとディレイ(響きや残響を足す効果)を深くかけた広がりのあるパッド(持続する背景の音)と、アルペジエーター(和音を1音ずつ自動で順に鳴らす機能)で刻まれる16分音符のシンセが重なる。曲の後半では音の層がすべて積み上がり、一気に解き放たれる盛り上がりが丁寧に設計されている。ヴォーカルは、アグロテックのように歪ませて怒鳴るのではなく、加工の少ないクリーンな歌声を、深いリバーブと重ね録りで荘厳に響かせることが多い。歌詞は個人的な喪失、信念、記憶、戦争と犠牲、人類の未来といった主題を抽象的で内省的な言葉で扱い、しばしば演説や映画の台詞のサンプルが冒頭に置かれる。和声は短調が中心だが、終盤で長調へ開けて希望を示す進行が好まれる。同じ系譜のEBMが身体的な攻撃性を、アグロテックが不快さを追求するのに対し、フューチャーポップは高揚感と歌ものとしての完成度を最優先する点で異なる。
成り立ち
1990年代末、ゴシックとインダストリアルのクラブシーンで、EBMの硬さとトランスの高揚感を結びつける試みが、あちこちで同時に現れたことから生まれた。決定的だったのは1999〜2000年で、アイルランド出身のRonan Harrisが率いるVNV Nationが1999年にアルバム『Empires』を、ノルウェーのStephan Groth率いるApoptygma Berzerkが2000年に『Welcome to Earth』を、それぞれ発表した。この2枚は、それまでのEBMが持っていた無機質さを保ちながら、トランス的なシンセの層とはっきり歌われる旋律を導入し、シーンの音を一変させた。フューチャーポップという呼称自体は、Ronan HarrisがStephan Grothとの会話の中で自分が思いついたと述べているもの(本人の証言による)で、やがてジャンル名として定着する。アメリカのMetropolis RecordsとドイツのDependent Recordsが流通を担い、スウェーデンのCovenantは『United States of Mind』(2000)で洗練された都会的な感触を加え、アメリカのTom ShearによるAssemblage 23は個人的な喪失を主題とする作風で支持を集めた。ノルウェーのIcon of Coilは、より軽やかなダンス寄りの解釈で若い聴衆を取り込んでいる。この音楽が広まった背景には、1990年代を通じて欧米各地に定着したゴシック/インダストリアル系のクラブナイトと、1992年から続くドイツのWave-Gotik-Treffen、2000年以降はM'era Lunaといった大規模フェスティバルの存在があった。一方で、外部の評者からは「安価なテクノと区別がつかない」という評も出て、Assemblage 23のTom Shearはこの呼称を皮肉まじりに評している。VNV Nationはより管弦楽的な方向へ、Apoptygma Berzerkはエレクトロロック寄りへ進み、ジャンルとしての結束は緩んでいく。なお、1990年代前半に生まれたダークエレクトロは、のちにアグロテックやフューチャーポップに取って代わられたとされる。
代表曲
- Call the Ships to Port (Covenant)
- We Stand Alone (Covenant)
- Nova (VNV Nation)
- Standing (VNV Nation)
- Chrome (VNV Nation)
- Dead Enough for Life (Icon of Coil)
- Starsign (Apoptygma Berzerk)
- Shelter (Icon of Coil)
- Monochrome (Covenant)
- Kathy's Song (Apoptygma Berzerk)
- Disappoint (Assemblage 23)
- Let the Wind Erase Me (Assemblage 23)
ルーツ(影響を受けたジャンル)
Synth Pop、 EBM
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