Hardstyle(ハードスタイル)とは
歪ませたキックと、そのキックの余韻を音程として使う独特の手法を核とする音楽。テンポは初期の140BPMから、年とともに上昇し、150〜160BPMに達した。この系統を決定づけているのがリバース・ベースと呼ばれる仕掛けで、キックとキ
歪ませたキックと、そのキックの余韻を音程として使う独特の手法を核とする音楽。テンポは初期の140BPMから、年とともに上昇し、150〜160BPMに達した。この系統を決定づけているのがリバース・ベースと呼ばれる仕掛けで、キックとキックの間の裏拍に、音程を持つ低音を置く。この結果、キックと低音が交互に鳴って「ドッ・ウーン」という二段構えの打撃を作り、これが延々と反復されることで独特の跳ねる推進力が生まれる。近年はキック自体が音程を持つよう合成され、キックと低音が一体化した設計も多い。上物はトランス由来の壮大な旋律で、スーパーソウのリードやピアノ、弦楽器風のパッドが用いられる。和声は自然短音階の循環が中心で、感傷的な情緒を作る。曲の構成は明確に定型化されており、導入、第一のドロップ、ブレイクダウン、第二のドロップという順序をとる。ブレイクダウンでは打楽器が止まり、歌や旋律が感情を蓄積してから、キックが戻る。ヴォーカルは男性の力強い歌唱、女性の伸びやかな歌唱、そしてMCの煽りが使い分けられる。歌詞は団結、誇り、逆境の克服といった主題が多く、共同体への帰属意識を強く喚起する。ハードコアと比べてテンポが遅く、キックの歪みも抑制されており、旋律と感情表現の比重が大きい。大型野外音楽祭での集団的な体験を前提として設計されている点が、この音楽の本質的な条件になっている。
成り立ち
1990年代後半に、オランダ・ベルギー・イタリアに起源があるとされ、正確な起源は特定できない。特徴の多くはハードトランス(リバース・ベースなど)に由来する。ガバには一部に右翼的な少数派の支持があり、レーベルや作家が否定声明を出したが、1990年代半ばにはオランダの主流文化になっていた。一方でハードトランスやハウスの側にも、より攻撃的な音を求める層が存在した。この隙間に生まれたのがハードスタイルである。初期から活動した作家としてはThe Prophet(Dov Elkabas)、DJ Zany、Lady Dana(Danaとも)、Luna、Pavo、Showtekが挙がる。とりわけThe Prophetは1983年からDJとして活動しており、2000年前後にテンポを落として旋律を導入する方向へ舵を切った。レーベルではScantraxx(The Prophetが2002年に設立)、Fusion Records、Dutch Master Worksが中心となった。技術的な特徴は、キックの間の裏拍に音程を持つ低音を置くリバース・ベースにある。これはハードトランスに由来する手法とされ(Scot Projectなどが例に挙がる)、ハードスタイルで定型として確立した。産業面での決定的な役割を果たしたのがオランダのイベント運営会社Q-danceで、屋内イベントのQlimaxを2000年に(当初はトランス/テクノ中心)、野外音楽祭のDefqon.1を2003年に始め、2013年にはアムステルダムのZiggo Domeで屋内イベントのQapitalも始めた。これらは数万人規模の動員を持ち、精緻な照明と炎の演出を伴う集団的儀式のような形式を確立した。参加者は特定の服装と身振り(ジャンプするような独特の踊り)を共有し、強い帰属意識を持つ共同体を形成した。2000年代半ばから2010年代にかけて、この音楽はオランダを越えてドイツ、オーストラリアなどへ広がった。とりわけオーストラリアでは大きな支持を得ている。2010年前後には、感情的な旋律と強いピッチ変調のキックを特徴とするユーフォリック・ハードスタイルが広がり、その反動として、より攻撃的なローシュタイルが成立した。後者は歪みの強い生のキックを用い、原点回帰を掲げた。また薬物の問題は深刻で、Defqon.1は薬物を全面禁止する方針(zero-tolerance)をとる。死亡事例としては2018年シドニー(豪州)のDefqon.1で2名が死亡し、主催者側が検査導入を求めた。オランダ版でも2024年に26歳男性が死亡したと報じられたが、薬物との因果は未確認である。
代表曲
- Living for the Moment (Ran-D)
- Imaginary (Brennan Heart)
- The Power of Now (Headhunterz & Steve Aoki)
- Scrap Attack (Headhunterz)
- No Guts, No Glory (Ran-D feat. Skits Vicious)
- Tonight (Headhunterz vs Wildstylez vs Noisecontrollers)
- Her Voice - Headhunterz Remix (Builder)
- Rave Culture (Sub Zero Project)
- Step Into The Madness (Da Tweekaz)
- Subsonic (Headhunterz)
- Make the Crowd Move (Wildstylez & Villain)
- Hyena (Coone)
- Get Loose (Showtek & Noisecontrollers)
- Get Wild Go Hard (Wildstylez & Hard Driver)
- Dragonborn Part 3 (Headhunterz)
- Shizzle My Dizzle (DJ Duro & The Prophet)
- Angel (The Nasty Boyz)
- The Prophecy - Qlimax 2003 Anthem (Deepack)
- Live The Moment (Brennan Heart)
- Spacer (Frontliner)
- Solar (Noisecontrollers & Bass Modulators)
ルーツ(影響を受けたジャンル)
Gabber、 Mainstream Hardcore、 Hardcore EDM、 Hard Trance
影響を与えたジャンル
Mainstream Hardcore、 Hardcore EDM、 Hard-Psy、 Dubstyle、 Subground、 Euphoric Hardstyle、 Rawstyle、 Hard Trap
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