Moombahcore(ムンバーコア)とは
ムーンバートンの遅い拍の取り方に、ダブステップやハードダンスの歪んだ音を持ち込んだ様式である。テンポは一分間に100から115拍程度で、108拍という数値は成立のきっかけになった減速の値に由来する。リズムの土台はレゲトンのデンボウ
ムーンバートンの遅い拍の取り方に、ダブステップやハードダンスの歪んだ音を持ち込んだ様式である。テンポは一分間に100から115拍程度で、108拍という数値は成立のきっかけになった減速の値に由来する。リズムの土台はレゲトンのデンボウと呼ばれる型で、1小節を三つと三つと二つに区切るような跳ねた配置を取る。カリブ海の踊りの拍の取り方をそのまま使いながら、その上に乗る音だけを欧州の攻撃的な電子音楽から借りてきた構造になっている。具体的には、音の高さを急に上げ下げして唸らせた低音、金属的に割れた合成音、そして極端に圧縮された打撃音が使われる。曲の構成は緊張と解放の対比を強調した作りで、静かに溜める区間から一気に爆発する落差が最大の聞かせどころになる。落差の部分ではリズムが一時的に倍の細かさになったり、逆に完全に止まったりする。メロディーの要素は少なく、加工された声の断片や短い決まったフレーズがくり返される。ムーンバートンの陽気で色っぽい性格に対し、こちらは攻撃性と重さを前面に出しており、同じ拍節を使いながら受ける印象は大きく異なる。
成り立ち
発端は2009年11月、ワシントンD.C.周辺で活動するデュオNadastromのディージェイ、デイヴ・ナダが、従兄弟の頼みで高校生のパーティーに呼ばれた現場で行ったその場の思いつきの操作である。彼はSilvio EcomoとChuckieの曲『Moombah!』のアフロジャックによるリミックスの再生速度を、128拍前後から一分間に約108拍まで大きく落とした。当時のダッチ・ハウスは130拍前後が標準だったため、これは劇的な減速だった。その場に居合わせた聴き手がレゲトンに近い感覚で踊りはじめたことから、彼はこの効果を意識的に再現しはじめる。ムーンバートンという名は、元になった曲名にレゲトンを掛け合わせたものである。2010年に彼が発表した作品集が無料で配布されると、この手法は制作者の間で急速に広まった。減速という単純な操作だけで新しい様式が生まれたという経緯が、当時の制作環境の特徴をよく表している。同じ2010年にはムンチといった制作者が同種の曲を発表し、2011年にはディプロのレーベルMad Decentがムーンバートンのコンピレーションを出して、一つの様式として知られるようになった。ここから複数の方向へ分岐し、moombahcore、moombahstepなどの名が挙がった。一方は原型に近い、陽気で色っぽい性格を保つ流れである。もう一方が、当時同時に勢いを増していたダブステップの唸る低音と歪みを大量に持ち込んだ流れで、これがムーンバーコアと呼ばれるようになった。起源はオランダのムンチとする記述が有力で、ムンチは2010年にDatsikの『Firepower』のムーンバーコア・リミックスを作っている。アメリカのディロン・フランシスは、2010年にDJデビューし、ムーンバートンの流行で知られたあと、より激しい派生であるムーンバーコアを推し進めた人物である。流行は2010年代初頭が最盛期で、その後は次の流行に移っていった(2013年にはムンチが『Moombahton Is Dead』というコンピレーションを出している)。ただしカリブ海の拍節を欧米の電子舞曲へ本格的に導入したという点で果たした役割は大きく、「Sorry」や「Despacito」など、ラテン系の要素を持つ主流のポップスに至る流れの、初期の一段として位置づけられている。
代表曲
- Highscore (Panda Eyes)
- Razor Sharp (Pegboard Nerds & Tristam)
- Ricochet (Rob Gasser)
- Sleaze (Knife Party)
- Pink Lady (Feed Me)
- Sandungueo (Munchi)
- One Click Headshot (Feed Me)
- Red Heat (SKisM)
- High Noon (Feed Me)
- Manslaughter (Lets Be Friends)
- Swarm VIP (KUURO)
ルーツ(影響を受けたジャンル)
Moombahton、 Dubstep
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