Moombahton(ムンバートン)とは
ハウスの構造を大幅に減速させ、レゲトンのリズムを重ねた音楽。テンポは108BPM前後が目安とされ(Nada本人は「唯一のルールはテンポが約108BPMであること」と述べている)、この遅さがジャンルの定義そのものになっている。リズム
ハウスの構造を大幅に減速させ、レゲトンのリズムを重ねた音楽。テンポは108BPM前後が目安とされ(Nada本人は「唯一のルールはテンポが約108BPMであること」と述べている)、この遅さがジャンルの定義そのものになっている。リズムの骨格はレゲトンのデムボウ・パターンで、キックは1小節に4拍を刻み、その上にスネアまたはリムショットが3+3+2(トレシージョ)の位置に入る。この跳ねたリズムが腰を使った踊り方を誘発する。ベースは太く広がるベースラインで、しばしばオランダのダッチハウス由来の、上下に滑る鋭い電子スタブ音(ダーティ・ダッチ)が重ねられる。上物は少なく、シンセの短い突き刺し、ラテンのパーカッション(コンガ、ティンバレス、カウベル)、そしてホーンのサンプルが重なる。テンポが遅い分、一音一音の重量感が強く、キックの余韻が長く残る。ヴォーカルはスペイン語のラップやシャウト、あるいは英語の短いフレーズで、加工されて楽器のように扱われることも多い。構成はEDMの型を踏襲し、ビルドアップと無音を経てドロップへ落ちるが、そのドロップが遅いテンポで来ることが独特の肩透かしと快感を生む。レゲトンと比べて電子音の比重が高く、EDM全般と比べて劇的に遅い点が最大の識別点になる。
成り立ち
2009年、アメリカのワシントンD.C.の郊外で、極めて具体的な一つの出来事から生まれた。DJのDave Nada(本名Dave Villegas)は、いとこが主催する高校生の無断欠席パーティー(ディッチ・パーティー)でDJを頼まれた。集まっていたのは大半がラテン系の若者で、レゲトンを聴いていた。Nadaは手持ちのハウス(CDに入れていたダッチハウスなど)では場が持たないと考え、オランダのAfrojackが手がけたSilvio Ecomo & Chuckie「Moombah」のリミックスを、通常の128BPM前後(資料により130〜138BPMとも)ではなく108BPMまで落として再生した。すると、レゲトンに慣れた身体にそのテンポが合致し、フロアが熱狂した。この即興的な発見を足がかりに、その後のエディット制作と共有を経てジャンルになった。Nadaは曲名の Moombah とレゲトンの語尾を合わせて moombahton と名付け、2010年に無料配布のEP「Moombahton」を発表した。当時のブログ文化とSoundCloudの普及が拡散を加速させ、数か月のうちに世界中の制作者が同じ手法で楽曲を作り始めた。初期の重要な参加者としてはMunchi(オランダ在住のドミニカ系制作者)、Sabo、Nadastrom(Nada自身のユニット)、Dillon Francis、Diploが挙げられる。とりわけMunchiは、この形式にダブステップの要素を持ち込み、moombahcoreというより激しい派生を作った。DiploのレーベルMad Decentが受け皿となり、2011年前後に商業的な広がりを見せる。Skrillexも2010〜11年にはすでに関与していた。ジャンルとしての寿命は短く、2012〜13年ごろにはトラップに取って代わられ、流行としての勢いを失った。批判としては、定型化したという批判や、ラテン文化を外部の白人制作者が消費しているという文化的専有の問題が提起された。しかし影響は残った。2015年前後から主流ポップスがラテンのリズムを大量に取り込む流れが起き、Justin Bieberの2015年「Sorry」やMajor Lazer & DJ Snakeの「Lean On」といった世界的ヒットは、moombahtonの影響を指摘されている(「Sorry」は約100BPM、「Lean On」は約98BPM)。この意味で、短命なジャンルでありながら2010年代後半のポップスの方向を準備した役割は大きい。近年はラテン・トラップやレゲトンの世界的隆盛の中に吸収された形で存続している。
代表曲
- Get Low (Dillon Francis & DJ Snake)
- Watch Out For This (Bumaye) (Major Lazer)
- Bun Up the Dance (Dillon Francis & Skrillex)
- Coming Over (Dillon Francis & Kygo)
- Shut It Down (Dillon Francis)
- GO OFF (Nuthin' 2 It) (Dillon Francis)
- Bubble Butt (Major Lazer)
- Badmash (Bossfight)
- Masta Blasta (Dillon Francis)
- Trigger (KUURO)
- Que Que (Dillon Francis & Diplo feat. Maluca)
- Cash Flow (Major Lazer)
ルーツ(影響を受けたジャンル)
Chicago House、 Reggaeton、 Electro House
影響を与えたジャンル
Reggaeton、 Electro House、 Jungle Terror、 Moombahcore
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