Northern Soul(ノーザンソウル)とは
特定のスタイルのソウルに基づく、イギリス北部で生まれた聴き方と踊り方の運動である。対象となるのは主に1960年代半ばのアメリカで作られたソウルのうち、希少で見過ごされていた盤が中心であり(後年は新しい録音や英国の録音も加わって範囲
特定のスタイルのソウルに基づく、イギリス北部で生まれた聴き方と踊り方の運動である。対象となるのは主に1960年代半ばのアメリカで作られたソウルのうち、希少で見過ごされていた盤が中心であり(後年は新しい録音や英国の録音も加わって範囲が広がった)、テンポが速く、力強く、そして入手が困難であることが価値の条件とされた。音楽的な特徴を挙げるなら、100 BPM以上の速い4拍子、Motownの様式に近い分厚い打楽器と手拍子、そして力任せに歌い上げる歌唱である。ただし重要なのは、これらが同時代の流行ではなく、既に10年近く前の、しかも売れなかった音源だという点にある。踊り方が独特で、体操に近い動きが発達した。後方への宙返り、片足での高速な回転、床を滑る動き、そして高く蹴り上げる動作が、個人技として競われる。これは一人ずつが技を見せる個人技の面が強い一方、曲の特定の箇所での一斉の手拍子など集団での連帯もあり、腕の立つ踊り手がDJの舞台の近くで踊れるなど、序列のようなものも見られた。演奏の場は深夜から翌朝まで続く催しで、参加者は数百キロを移動して集まった。運動の標語と、拳を握った意匠が共有され、参加すること自体が帰属の証となる、結束の強い文化を形成した。
成り立ち
1960年代後半のイギリス北部は、繊維や炭鉱といった産業の衰退が始まり、若い労働者にとって展望の乏しい土地だった。ロンドン中心の流行から取り残されたこの地域で、若者たちはアメリカのソウルのレコードに独自の価値を見出す。この動きは1960年代後半に前史があり、1970年代初頭に確立したとされる。呼称そのものは、ロンドンでレコード店を営む記者Dave Godinが、北部から来る客が求める音楽を店員に説明するために1968年に考案し、1970年に雑誌のコラムで初めて公に使ったのが始まりとされる。中心となった会場は、マンチェスターのクラブTwisted Wheelを皮切りに、1973年にオールナイターを始めたウィガンの会場へ移った。ここでは土曜の深夜から日曜の朝八時まで演奏が続けられ、全国から若者が集まった。この文化には固有の規則があった。DJは自分がかけている盤の正体を隠すため、レーベル面に別の紙を貼り付けた。他人が同じ盤を手に入れれば希少性が失われるためである。この競争は音源の発掘を極端に推し進め、アメリカの倉庫に眠っていた在庫が大量に買い付けられた。象徴的な例が、1965年にMotownが制作しながらほとんど廃棄された一枚で、現存が数枚しか確認されておらず、史上最も高額なシングル盤のひとつとなっている。この運動には深刻な影の部分もあった。夜通し踊り続けるために覚醒剤が広く用いられ、警察による摘発が繰り返された。健康を損ない、あるいは依存に苦しんだ参加者も少なくない。1981年にウィガンの会場が閉鎖されると、運動は縮小したが、消滅はしなかった。参加者は中年になっても催しに通い続け、現在も各地で集まりが開かれている。この運動が残したものは大きい。忘れられた音源を発掘して価値を与えるという発想、DJが選曲によって文化を作るという構造、そして音楽を通じた強い共同体の形成は、現代のクラブ文化やスーパースターDJ文化の形成に向けた重要な一歩とされる。
代表曲
- Do I Love You (Indeed I Do) (Frank Wilson)
- The Snake (Al Wilson)
- Out on the Floor (Dobie Gray)
- The Night (Frankie Valli and the Four Seasons)
- I'm on My Way (Dean Parrish)
- Tainted Love (Gloria Jones)
- Nothing but a Heartache (The Flirtations)
- Seven Days Too Long (Chuck Wood)
- Love Factory (Eloise Laws)
- Landslide (Tony Clarke)
- If I Could Only Be Sure (Nolan Porter)
ルーツ(影響を受けたジャンル)
Soul、 Motown
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