Pagode(パゴーヂ)とは
サンバの一系統で、裏庭や集会所の輪になった宴から生まれた、親密で会話的な様式。編成が独特で、通常のサンバの大編成とは違い、小さな打楽器群を中心にした少人数で演奏される。中心になるのはタンタンという手で叩く低音の太鼓で、これが従来の
サンバの一系統で、裏庭や集会所の輪になった宴から生まれた、親密で会話的な様式。編成が独特で、通常のサンバの大編成とは違い、小さな打楽器群を中心にした少人数で演奏される。中心になるのはタンタンという手で叩く低音の太鼓で、これが従来のスルドの代わりに低音を刻む。加えて、手で叩く高音の太鼓レピキ・ヂ・マォン、鈴の付いた片面太鼓パンデイロ、そしてカヴァキーニョの棹とバンジョーの胴を組み合わせた、音が大きく打楽器の多い場でも通る4弦楽器バンジョ・カヴァキーニョが加わる。テンポは90〜110BPM、2拍子で、裏拍を強調した細かいシンコペーションが絶えず動き続ける。和声は7thや9thを含む洗練されたコードが使われ、ボサノヴァに近い響きを持つ場合もある。歌は一人が主旋律を歌い、周囲の全員が繰り返しの部分を合唱で返すコール・アンド・レスポンスが基本で、聴き手と演奏者の境界がない。歌詞は日常の恋愛、友人との酒、貧困を笑い飛ばす機知、地元への愛着を扱う。舞台上の見世物ではなく、円卓を囲んで飲みながら演奏するという場そのものが、この音楽の定義に含まれている。
成り立ち
1970年代末に、リオデジャネイロ北部の労働者地区のrodaで萌芽し、1980年前後にFundo de Quintalが型を確立した。中心になったのは、オラリア地区にあるカシーキ・ヂ・ラモス(名称はラモス地区に由来)というカーニバル団体の本部で、毎週水曜日に開かれていた集まりである。当時のサンバは、カーニバルの巨大なパレードのために大音量と大人数へ肥大しており、それに飽き足りない演奏者たちが、輪になって顔の見える距離で演奏する原点回帰を求めた。この場からFundo de Quintal(裏庭の底、の意)というグループが生まれる。彼らは音の面でいくつかの発明を行った。一つは、Ubirany Félix do Nascimentoが導入した手叩きの太鼓レピキ・ヂ・マォンで、もう一つはSereno(本名Jalcireno Fontoura de Oliveira)が広めたタンタンである。従来は肩に掛けて撥で叩いていた低音の太鼓スルドの代わりに、素手で叩くタンタンを使うようにしたことで、重いスルドを持ち運ばずに済み、スルドが他の楽器の音を消すこともなくなったとされる。さらにバンジョーの胴にカヴァキーニョの棹を付けたバンジョ・カヴァキーニョを、Almir Guinetoがサンバに導入・普及させたとされ(創案者かどうかは諸説ある)、屋外でも通る芯のある音を得た。この輪からZeca Pagodinho、Jorge Aragão、Arlindo Cruz、Sombrinhaといった作り手が育っていく。1978年にBeth Carvalhoのアルバム『De Pé no Chão』に参加したことで大手レーベルとの接点が生まれ、Zeca PagodinhoもBeth Carvalhoに1983年に録音へ招かれ、全国に広がっていった。1990年代には、サンパウロを中心に、電気ベースやキーボードを加えて甘い恋愛歌に特化したパゴーヂ・ロマンチコが台頭する。Raça Negra、Só Pra Contrariar、Art Popularといったグループが桁違いの売上を記録したが、リオの古参からはサンバの魂を売ったと厳しく批判され、この対立は今も続いている。2000年代以降はZeca Pagodinhoが国民的な人気を保ち、根の側と商業の側が並存する形に落ち着いた。裏庭で輪になって歌うという形式そのものは、ブラジル各地の日常に今も生き続けている。
代表曲
- Cheia de Manias (Raça Negra)
- Tá Vendo Aquela Lua (Exaltasamba)
- Deixa a Vida Me Levar (Zeca Pagodinho)
- Telegrama (Exaltasamba)
- Me Apaixonei Pela Pessoa Errada (Exaltasamba)
- Vou Festejar (Beth Carvalho)
- Verdade (Zeca Pagodinho)
- Temporal (Art Popular)
- Faixa Amarela (Zeca Pagodinho)
- Brincadeira de Criança (Molejo)
- Futuro Prometido (Sorriso Maroto)
- Coisinha do Pai (Jorge Aragão)
ルーツ(影響を受けたジャンル)
Salsa、 Samba
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