Soulful House(ソウルフルハウス)とは
ハウスの中でも、歌と和音の豊かさ、そして黒人教会の音楽の伝統を、真正面から受け継いだ一派である。テンポは概ね122から127 BPM、キックは四つ打ちを保つが、音の大きさを競うことはせず、全体の音量は抑えめで、ゆとりが保たれる。い
ハウスの中でも、歌と和音の豊かさ、そして黒人教会の音楽の伝統を、真正面から受け継いだ一派である。テンポは概ね122から127 BPM、キックは四つ打ちを保つが、音の大きさを競うことはせず、全体の音量は抑えめで、ゆとりが保たれる。いちばん大事な要素は歌である。ゴスペルの訓練を受けた歌手による、力強く伸びやかな歌唱が主役に据えられ、旋律は単純ではなく、装飾を凝らした細かい音の動きを含む。この歌を支えるのが和音で、単純な三つの音の和音ではなく、七の和音や九の和音、そして次々に雰囲気が変わる和音の流れが使われ、ジャズに近い響きを持つ。演奏には生のピアノや電気ピアノ、弦楽合奏、金管楽器が加えられることが多く、機械で打ち込んだ音だけでは終わらない。低音は指弾きのベースを模した滑らかな動きを見せる。打楽器にはコンガやボンゴが重ねられ、ラテン音楽の影響がはっきり聞こえる。曲の構成は歌ものとしての形式を保ちながら、DJが扱えるよう冒頭と末尾に打楽器だけの区間が設けられる。歌詞は愛、自己肯定、困難の克服、そして踊り場を居場所として肯定する内容が中心で、聴き手を励ます姿勢が一貫している。
成り立ち
ハウスは1980年代前半のシカゴで生まれたが、その主な源流の一つはディスコである。ゴスペルの影響が資料に明記されているのは、ガレージ・ハウスやジャージー・サウンドで、ゴスペル由来のピアノの反復句や女性の歌声が強く出ている。1980年代半ば、ニューヨークとニュージャージーでは、シカゴの機械的な音とは異なり、歌と和声を重んじる方向が発達する。ニューヨークのParadise Garageでの選曲を担ったLarry Levanの影響のもと、この地域の音は歌ものの伝統を色濃く受け継いだ。1990年代に入るとこの様式が結実する。Louie VegaとKenny Dopeによる2人組Masters at Workは、ラテン音楽、ディスコ、ジャズを統合し、この分野に大きな影響を与えた。ニュージャージーのKerri Chandlerは、DJだった父の影響で13歳からDJを始め、深い低音と温かい和音による独自の音を確立している。ニューヨークのJoe ClaussellやシカゴのRon Trent、そしてBarbara TuckerやUltra Natéといった歌手が、この分野を豊かにした。流通を支えたのはStrictly RhythmやKing Street Soundsといったニューヨークの独立系レーベルであり、1999年にイギリスで設立されたDefectedは、この音を国際的な市場へ届ける役割を果たした。この分野で特に注目したいのは、社会の中での役割である。1980年代から1990年代のニューヨークにおいて、踊り場は黒人とラテン系、そして性的少数者にとって数少ない安全な場所であり、そこで鳴る音楽は、外の世界で否定される存在を肯定する言葉を歌っていた。エイズ危機によって多くの担い手と客が失われたという事実も、この音楽の切実さと切り離せない。2000年代以降、より簡素で機能的なハウスが主流となる中で、歌と和声を重んじるこの様式は古風と見なされることもあった。しかし現在も世界中に熱心な聴き手を持ち、ハウスの倫理的な原点として参照され続けている。
代表曲
- Somebody Else's Guy (Jocelyn Brown)
- Finally (Kings of Tomorrow)
- Rain (Kerri Chandler)
- It's You, It's Me (Kaskade)
- Promised Land (Joe Smooth)
- Beautiful People (Barbara Tucker)
- Lovelee Dae (Blaze)
- Atmospheric Beats (Original Extented Version) (Kerri Chandler)
- Foundation (Ten City)
- That's All I Needed (Kerri Chandler)
- Someday (Ce Ce Rogers)
- I Found U (Kerri Chandler)
ルーツ(影響を受けたジャンル)
Chicago House、 Soul
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