Art Pop(アートポップ)とは
大衆音楽の形式を保ちながら、現代美術や実験音楽の発想を持ち込む様式。曲の骨格はヴァースとコーラスというポップスの型を残すが、その内部で通常なら避けられる要素が積極的に用いられる。具体的には、次のような要素が見られることがあり、不協
大衆音楽の形式を保ちながら、現代美術や実験音楽の発想を持ち込む様式。曲の骨格はヴァースとコーラスというポップスの型を残すが、その内部で通常なら避けられる要素が積極的に用いられる。具体的には、次のような要素が見られることがあり、不協和音や無調的な和声、4分の4から外れた拍子、テープの逆再生や環境音の挿入、電子的な加工による声の変質、そして楽器として想定されていない物体の音などである。編曲は密度が極端に高い場合と、逆に不自然なほど空白が多い場合の両極に振れる。旋律は覚えやすさより意外性を優先し、予想される音を裏切る跳躍や、途中で崩れる構造を含む。歌唱も、美声を目指す代わりに、囁き、叫び、無表情な語り、あるいは加工された非人間的な声が選ばれる。歌詞は物語や恋愛にとどまらず、自我の解体、性と身体、消費社会、死といった主題を、主題として扱うことがある。もう一つの特徴は、美術など他分野との結びつきで、ジャケット、衣装、ミュージック・ビデオ、舞台美術が音楽と同じ重みを持つ。作品全体が一つの構想として提示されることもある。
成り立ち
1960年代半ばに始まり、英国では美術学校での学びに、米国ではAndy Warholとその周辺のThe Velvet Undergroundの影響に由来するとされる。当時のイギリスでは、進学の選択肢として美術学校が広く開かれており、美術学校は労働者階級の賢い子供たちの伝統的な逃げ道でもあり、多くのバンドを生んだ土壌だった。John Lennon、Keith Richards、Pete Townshend、Ray Daviesらがその例である。彼らは大衆音楽を単なる娯楽ではなく、表現の媒体として扱う意識を持ち込んだ。1966年から1967年にかけて、The Beatlesがスタジオを作曲の道具として用い、The Beach BoysのBrian WilsonがPet Soundsで多層的な音響構成を提示したことが、出発点の一つとされる(Phil Spectorも挙げられる)。ニューヨークでは、Andy Warholの庇護のもとThe Velvet Undergroundが1967年にデビューし、ノイズと単調な反復、そして薬物や性を扱う歌詞により、美術と音楽の境界を消した。1970年代前半、イギリスでRoxy Musicが、Bryan Ferryの様式化された歌唱とBrian Enoの電子的な処理を組み合わせ、この様式を代表する存在となった。Brian Enoは後に、聴き方の度合いを強制せず、「無視できると同時に興味深い」音楽としてアンビエントを提唱している。David Bowieは1970年代を通じて、Ziggy Stardustをはじめとする架空の人格を用いた作品を発表し、自己の演出そのものを芸術とした。1970年代末には、Talking Heads、Kate Bush、Japanらが続いた。1980年代以降、この系譜はBjörk、Radiohead、そして2010年代にはFKA twigs、Arca、Kanye Westといった作家に受け継がれている。批判としては、大衆音楽の直接性を失って自意識過剰に陥る危険、そして大衆との差異化やエリート主義だという批判が向けられてきた。
代表曲
- Running Up That Hill (Kate Bush)
- Genesis (Grimes)
- Nobody (Mitski)
- Heroes (David Bowie)
- Cloudbusting (Kate Bush)
- Cellophane (FKA twigs)
- Army of Me (Björk)
- Oblivion (Grimes)
- New York (St. Vincent)
- Venus as a Boy (Björk)
- Liability (Lorde)
- Digital Witness (St. Vincent)
- All Is Full of Love (Björk)
- Joga (Björk)
- Big Time Sensuality (Björk)
- Masseduction (St. Vincent)
- Hyperballad (Björk)
ルーツ(影響を受けたジャンル)
Pop、 Art Rock
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