Happy Hardcore(ハッピーハードコア)とは
高速のキックに、明るく多幸的な旋律を乗せた系統。テンポは160〜180BPM。土台はハードコアのゆがんだ四つ打ちだが、そのキックは歪ませつつも音程を感じさせる丸い音に整えられ、攻撃性より弾む感覚が優先される。この上に、ピアノの華や
高速のキックに、明るく多幸的な旋律を乗せた系統。テンポは160〜180BPM。土台はハードコアのゆがんだ四つ打ちだが、そのキックは歪ませつつも音程を感じさせる丸い音に整えられ、攻撃性より弾む感覚が優先される。この上に、ピアノの華やかなリフ、明るい長調の和声、そして甲高く加工した女性ヴォーカルが乗る。ヴォーカルの音程操作が特徴的で、原曲より数半音上げることで人間離れした無邪気な響きを作る。和声は圧倒的に長調で、これがハードコア系全般の中では極めて珍しい特徴になっている。曲の構成は明快で、導入、ブレイクダウン(打楽器を止めてピアノと歌だけにする)、そして復帰という型を守る。ブレイクダウンでは感傷的な旋律が提示され、そこから一気に高速のキックへ戻る落差が快感の中心になる。ベースは単純なオフビートのシンセ音で、低域を強調しすぎず、ピアノと歌の帯域を空ける。ブレイクビーツが残っている場合もあり、初期のものほどAmen Breakの断片が刻まれている。歌詞は愛、友情、パーティーの喜びといった直接的で肯定的な主題を歌う。ガバ(約140〜190BPM)と比べると、暗さや暴力性が徹底的に排除されている点で対極に位置する。この明るさは長らく批評家から嘲笑の対象となったが、共同体の結束はきわめて強い。
成り立ち
1992年末から1994年末にかけて、イギリスのハードコア・レイヴの内部分裂から生まれ、ベルギー・ドイツ・オランダのハードコア・テクノもルーツの一つとされる。当時のレイヴでは、ブレイクビーツと低音を重視する層と、ピアノと歌の高揚感を求める層の嗜好が分かれつつあった。前者はジャングルへ、後者はハッピーハードコアへ進んだ。この分裂には人種的・階級的な要素があったことも、当事者や研究者によって指摘されている。ジャングルがロンドンの黒人文化と結びついたのに対し、ハッピーハードコアは、ロンドンとバーミンガムを除く、白人のレイブ客が多い地域(エセックス、ノーサンプトン、北部、スコットランド、ウェールズなど)の若者に支持された。呼称は当初 4-beat や happy hardcore と呼ばれ、1994年前後に定着した。中心となった作家はSlipmatt、DJ Sy、DJ Seduction、Vibes & Wishdokta、Dougal、Hixxy、Sharkey、Force & Styles。Scott Brown(スコットランド、グラスゴー)はバウンシーテクノの人物で、ハッピーハードコアからハードトランス、ガバまで幅広く手がけた。レーベルでは成立期にKniteforceやImpact、Hectic、Just Another Labelなどが機能し、のちにHappy Vibes、Essential Platinum、Blatant Beatsなどが加わり、Bonkersという編集盤シリーズが1996年から始まって商業的な柱になった。イベントとしてはHelter Skelter、Dreamscape、United Dance が数千人規模で開催された。オランダとオーストラリアにも独自のシーンが生まれ、とりわけオーストラリアでは2000年代に大きな支持を得た。この音楽は当初、主流の音楽誌からは嘲笑され、低俗なダンス音楽として扱われた。一方で、1995年にSimon ReynoldsがiD誌で論じ、1996年にはBBCラジオ1のJohn Peelの番組でScott Brownのセッションが放送されるなど、取り上げた例もある。制作者側もそれを自覚しており、あえて「馬鹿げていること」を誇りとする文化が形成された。この開き直りが、逆に極めて強固な共同体の結束を生んだ。薬物の問題は他のレイヴ文化と同様に深刻で、とりわけ安価な代替薬物による健康被害が報告された。1990年代末には市場が縮小し、シーンは大きく後退した。2000年代前半にはUKハードコアという名で再編され、テンポは1990年代から続く170BPM前後のまま、より洗練された制作技術と、トランス由来の壮大な旋律が導入された。この形は現在も継続している。日本では、1990年代後半にJ-COREが生まれ(ガバやハードコア・テクノ系)、2000年代前半にファイル共有網で広まった。ハッピーハードコア系のコンピレーションも2000年前後から日本で出ていた。2010年代には、アニメの主題歌をリミックスする文化とも結びつきながら、英語圏のアニメファンへ広がっていった。またSNS上では、当時を知らない若い世代がこの音を再発見し、皮肉抜きの多幸感として受け止める動きも起きている。
代表曲
- Pretty Green Eyes (Ultrabeat)
- Pretty Rave Girl (S3RL)
- Have You Ever Been Mellow (Party Animals)
- Shoulder Boulders (S3RL)
- Aquarius (Party Animals)
- Rainbow to the Stars (Dune)
- Shooting Star (Bang!)
- Can't Stop Raving (Dune)
- Million Miles from Home (Dune)
- Everytime (Dougal & Gammer)
- Herz an Herz (Blümchen)
- Luv U More (DJ Paul Elstak)
ルーツ(影響を受けたジャンル)
Hardcore Rave
影響を与えたジャンル
J-Core、 Bouncy Techno、 Nightcore、 UK Hardcore
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