Intelligent Dance Music(アイディーエム)とは
踊りよりも家庭での聴取に向くとされる、個性的な実験を特徴とする電子音楽である。共通の音楽的特徴は特定しにくいが、代表的な作品には次のような傾向が見られる。土台にはテクノやブレイクビーツの語法があるが、その全ての要素が意図的に不安定
踊りよりも家庭での聴取に向くとされる、個性的な実験を特徴とする電子音楽である。共通の音楽的特徴は特定しにくいが、代表的な作品には次のような傾向が見られる。土台にはテクノやブレイクビーツの語法があるが、その全ての要素が意図的に不安定にされている。リズムは最も特徴的な部分で、生ドラムの録音を極めて細かく切り刻み、通常ではありえない位置へ再配置することで、人間には演奏不可能な複雑さが作られる。作品によっては、変拍子や、拍節の感覚を失わせる配置が用いられる。音色の面では、機械の内部で起きる誤動作を思わせる断続的な雑音、粒子状に分解された音、そして極めて短い断片が高速で連なる質感が好まれる。しかしこの分野を単なる実験と区別するのが、旋律と和声の情感である。複雑で冷たいリズムの上に、しばしば極めて美しく郷愁を帯びた旋律が置かれ、この落差が独特の感情を生む。和音は長調と短調の間で揺れ、意図的に音程をずらして不安定にされることも多い。曲は作品によっては明確な起承転結を持たず、要素が変質し続ける。テンポが曲中で変化する作品もある。低音は身体を揺らすためではなく、音響的な広がりのために配置される。
成り立ち
1990年代前半のイギリスでは、レイヴ文化が最盛期を迎えていた。しかし同時に、その音楽を作っていた制作者の一部は、踊り場での機能から離れた作品を作り始めていた。1989年にシェフィールドで設立されたWarpは、当初はレイヴ向けの作品を出していたが、1992年、家庭で聴くための電子音楽と銘打った編集盤を発表する。この作品の題名が、後の呼称の由来になった可能性が高いとされる。1993年、この種の音楽を議論するための電子的な通信の集まりが作られ、その名称としてインテリジェント・ダンス・ミュージックという語が用いられたことで、呼称が定着する。ただしこの語は当初から大きな問題を抱えていた。知的なダンス音楽という表現は、必然的に、それ以外のダンス音楽が知的でないという含意を持つ。この含意は、ハウスが黒人・ラテン系・ゲイのクラブ文化から、テクノがデトロイトの黒人音楽家たちから生まれたという歴史を踏まえれば、極めて無神経なものである。実際、この分野に関わる作り手の多く(Aphex Twin、Autechre、μ-Ziqなど)がこの呼称を批判し、否定してきた。Richard D. Jamesは、この呼称を笑い、自分はジャンル名を使わず、好きか嫌いかを言うだけだと述べている。作り手の顔ぶれは多彩だった。Aphex Twinは膨大な数の名義で作品を発表し、Autechreは作品を重ねるごとに構造を抽象化させ、後年には作曲を機械の生成過程に委ねる方向へ進んだ。Squarepusherは生のベース演奏と極端に細分化されたドラムンベースを結合させ、Boards of Canadaは劣化したテープの質感と不穏な旋律によって、記憶と郷愁を主題とする独自の世界を築いた。RephlexやSkam、Planet Muといった小規模なレーベルがこの領域を支えた。呼称そのものは忌避されながらも使われ続けているが、そこで開発された、リズムを素材として自由に加工するという発想は、後続の電子音楽に影響を与えた。
代表曲
- Windowlicker (Aphex Twin)
- Roygbiv (Boards of Canada)
- Beep Street (Squarepusher)
- Alberto Balsalm (Aphex Twin)
- Flim (Aphex Twin)
- Bike (Autechre)
- Telephasic Workshop (Boards of Canada)
- Flutter (Autechre)
- Gyroscope (Boards of Canada)
- Polynomial-C (Aphex Twin)
- Brace Yourself Jason (µ-Ziq)
- Vordhosbn (Aphex Twin)
ルーツ(影響を受けたジャンル)
Techno、 Ambient、 Electronic music
影響を与えたジャンル
Glitch、 Deconstructed Club
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