Punk Rock(パンク)とは
三つ程度のコードと速い8ビートだけで押し切る、簡潔さと速度を美徳にしたロック。曲は2分前後と短く、長い間奏やギターソロを省き、イントロからいきなり本題に入る。ギターは歪ませたまま全弦を振り下ろすダウンストロークの連打が中心で、和音
三つ程度のコードと速い8ビートだけで押し切る、簡潔さと速度を美徳にしたロック。曲は2分前後と短く、長い間奏やギターソロを省き、イントロからいきなり本題に入る。ギターは歪ませたまま全弦を振り下ろすダウンストロークの連打が中心で、和音はルートと5度だけのパワーコード。ベースはピックで8分音符を刻み、ドラムはスネアを2拍4拍に叩き続けるエイトビートか、2分の2拍子で表裏を叩き分ける倍速の型を使い、テンポは150〜180BPM前後が一般的で、Ramonesのように200BPM近い曲もある。演奏技術の高さはむしろ嫌われ、外れた音程や走るリズムは欠点ではなく正直さの証とされた。歌詞は失業、退屈、都市の荒廃、権威への嫌悪、自意識といった生活圏の不満を、比喩を避けた直接的な言葉で吐き出す。録音は数日で終わらせ、少額で自主制作した7インチシングルとコピー誌(ファンジン)で流通させるDIYの姿勢が、音そのものと同じくらい重要視される。ハードロックと編成は似ているが、名人芸・長尺・神秘的な歌詞をすべて捨てた点で正反対に位置する。会場では客と舞台の境界が曖昧で、跳ねて踊るポゴや、身体をぶつけ合うスラムダンス(のちのモッシュ)、客が舞台から飛び込むステージダイブが伴う。
成り立ち
1960年代末のデトロイト周辺(ミシガン州)とニューヨークにその前身がある。MC5は1969年の「Kick Out the Jams」で政治的な過激さと轟音を結び付け、The StoogesのIggy Popは自傷を含む破滅的な舞台で観客との境界を壊した。1974年頃からニューヨークのバワリー地区にあった場末の酒場CBGBに、Television、Patti Smith、Ramones、Blondieらが集まり、演奏の巧拙を問わない場が生まれる。Ramonesが1976年4月に出した1作目は14曲で29分、ほぼ全曲が同じダウンストロークという極端な単純化で、以後の設計図になった。この動きをイギリスへ持ち込んだのが、ニューヨークでNew York Dollsの面倒を見ていた衣料店主Malcolm McLarenである。彼はロンドンのキングス・ロードにある自身の店SEXの周辺の若者のバンドを引き継いで管理し、メンバーと路線を作り替えてSex Pistolsとして世に出し、1976年11月に「Anarchy in the U.K.」を発表した。同年12月1日、テレビ番組でのBill Grundyとの罵り合いが全国紙の一面になり、バンドは音楽ではなく社会問題として扱われる。1977年、エリザベス2世の在位25周年に合わせて出した「God Save the Queen」は放送禁止にされながら、公式チャートでは2位、NMEのチャートでは1位となった(チャートが操作されたとする疑惑もある)。1976年9月の100 Club Punk Special、The Damnedによる英国初のパンク・シングル「New Rose」(1976年10月)、Buzzcocksが1977年に自費で出した「Spiral Scratch」が、レコード会社を通さずに作品を出せるという実例を示し、無数の小レーベルとコピー誌が生まれた。Tony Moonが1976年末から1977年1月にかけて創刊したファンジン『Sideburns』第1号に載った、三つのコードの押さえ方の図に「これで三つ、さあバンドを組め」と添えた一枚は、この運動の精神を要約したものとして語り継がれている(しばしばMark Perryの『Sniffin' Glue』に誤って帰属されるが、実際には『Sideburns』掲載である)。The Clashは政治的主題を引き受け、人種差別に反対する運動Rock Against Racismと結び付いた。だが速度は短命でもあった。Sex Pistolsは1978年1月に解散し、ベースのSid Viciousは恋人殺害の容疑を受けたまま1979年2月に薬物の過剰摂取で死亡する。運動はより実験的なポストパンク、より速く硬派なハードコアパンク、そして商業化したニューウェーヴへと分岐していった。
代表曲
- London Calling (The Clash)
- God Save the Queen (Sex Pistols)
- Blitzkrieg Bop (Ramones)
- Anarchy in the U.K. (Sex Pistols)
- I Wanna Be Sedated (Ramones)
- Pretty Vacant (Sex Pistols)
- Teenage Kicks (The Undertones)
- White Riot (The Clash)
- Gimme Danger (Iggy and the Stooges)
- Ever Fallen in Love (With Someone You Shouldn't've) (Buzzcocks)
- Rockaway Beach (Ramones)
- Sheena Is a Punk Rocker (Ramones)
- New Rose (The Damned)
- Complete Control (The Clash)
- Garageland (The Clash)
- Orgasm Addict (Buzzcocks)
- Blank Generation (Richard Hell and the Voidoids)
- EMI (Sex Pistols)
- 53rd and 3rd (Ramones)
- Suspect Device (Stiff Little Fingers)
- Alternative Ulster (Stiff Little Fingers)
- Neat Neat Neat (The Damned)
- Smash It Up (The Damned)
- Boredom (Buzzcocks)
- Chinese Rocks (The Heartbreakers)
ルーツ(影響を受けたジャンル)
Rock 'n' Roll、 Reggae、 Oi!、 Heavy Metal、 Garage Rock、 Glam Rock、 Proto-Punk、 Ska
影響を与えたジャンル
Post-Punk、 Industrial、 Alternative Rock、 Indie Rock、 Oi!、 Mathcore、 Crust Punk、 Pop Punk
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