Zouk(ズーク)とは
カリブ海のフランス領アンティル諸島、グアドループとマルティニークで生まれたダンス音楽である。土台には両島の伝統的な打楽器音楽(グアドループ固有のグウォカ太鼓など)、ハイチのコンパ、19世紀からの舞踏音楽ビギンなどがあるが、それを1
カリブ海のフランス領アンティル諸島、グアドループとマルティニークで生まれたダンス音楽である。土台には両島の伝統的な打楽器音楽(グアドループ固有のグウォカ太鼓など)、ハイチのコンパ、19世紀からの舞踏音楽ビギンなどがあるが、それを1980年代の最新の電子機材で全面的に作り直した点が革新だった。テンポは初期には120から145 BPM程度と速く(のちのズーク・ラヴは約95〜100 BPMまで遅くなった)、リズムは長い2拍に短い1拍が続く型の繰り返しを基調とし、速いズークは謝肉祭と結びつく。リズムの刻みは非常に細かく分けられ、複数の打楽器のパターンが互いにずれながら噛み合う。初期のズークでは、本物の管楽器の一団(サックス、トランペット、トロンボーン)が鋭い音を短く吹き込み、シンセサイザーやドラムマシンも併用された。歌唱は複数の声を重ねた分厚い合唱が特徴で、男女の掛け合いも多用される。重要なのは言語で、初期のKassav'はフランス語ではなくアンティル諸島のクレオール語で歌った。これは単なる選択ではなく、支配していた本国(フランス)に合わせさせようとする圧力に対する、明確な文化的主張であった。のちにズークが国際化するにつれ、歌詞はフランス語に移っていき、とくにズーク・ラヴは主にフランス語で歌われる。歌詞は恋愛、祝祭、島の日常を扱うが、同時に自分たちの言葉で歌うこと自体が、初期には政治的な行為でもあった。より遅く官能的な形態も派生している。
成り立ち
グアドループとマルティニークは、17世紀以来フランスの植民地であり、1946年には海外県(フランス本国と同じ県の扱い)としてフランスに統合された。この統合は市民権をもたらす一方、クレオール語を劣った方言として扱い、フランス本国の文化への同化を強いるものでもあった。1970年代、島の若者たちは、自分たちの音楽が本国の流行歌の劣化版として扱われることに強い不満を抱いていた。この状況を変えたのが、1979年に結成されたKassav'である。結成の発端は、Pierre-Édouard DécimusとFreddy Marshallにさかのぼるとされる。ギタリストのJacob Desvarieuxがパリの録音技術を持ち込み、Georges Décimusが低音を担い、1980年代前半にJocelyne BéroardやJean-Philippe Marthélyらが歌手として加わって、編成が整っていく。彼らの方針は明確だった。すなわち、国際的な水準の録音と演奏によって、クレオール語の音楽が二流ではないことを証明することである。1984年に発表された楽曲は、この音楽こそが我々の唯一の薬だという意味の題名を持ち、島の外へ爆発的に広まった。パリに暮らす膨大な数のアンティル系移民が、この音楽を故郷との絆として受け入れたことも普及を後押しした。1980年代後半には、彼らはアフリカ大陸でも絶大な人気を得る。この波及は思わぬ結果を生んだ。アンゴラでは、センバとズークの影響を受けて、キゾンバと呼ばれる様式が生まれた。起源をカーボベルデとする主張もあり、研究者の間でも争われている。ブラジルでは、1990年代初めにランバダから発展した踊りが、ブラジリアン・ズークとして定着した。2021年、Jacob Desvarieuxが新型の感染症により死去したことは、この音楽の歴史における大きな喪失となった。それでも、クレオール語で歌うことが誇りとなったという転換の意義は、音楽の枠を超えている。
代表曲
- Sye Bwa (Kassav')
- Zouk la sé sèl médikaman nou ni (Kassav')
- Something Going On (Kaysha)
- Mon soleil (Princess' Lover)
- Touloulou (Jim Rama)
- Maldón (Zouk Machine)
- Fruit de la Passion (Francky Vincent)
- Elles demandent (Medhy Custos)
- Siwo (Kassav')
- Tu me manques (Harry Diboula)
- Rété (Kassav')
- Dokte (Ralph Thamar)
ルーツ(影響を受けたジャンル)
Dancehall、 Disco、 Funaná
影響を与えたジャンル
Kizomba、 Funaná
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