Bluegrass(ブルーグラス)とは
アコースティック楽器だけで演奏される、高速で技巧的なアメリカ南部の民衆音楽。編成は5弦バンジョー、マンドリン、フィドル、アコースティック・ギター、ウッドベース、そして時にドブロ(金属の共鳴板を持つスライド・ギター)で、打楽器は使わ
アコースティック楽器だけで演奏される、高速で技巧的なアメリカ南部の民衆音楽。編成は5弦バンジョー、マンドリン、フィドル、アコースティック・ギター、ウッドベース、そして時にドブロ(金属の共鳴板を持つスライド・ギター)で、打楽器は使わない。リズムはマンドリンとギターが担い、マンドリンが2拍目と4拍目を短く弾く、いわゆるチョップという奏法が、ドラムのスネアの代わりを務める。BPMは速く、拍子の書き方は2/2や4/4など、慣習によって異なる。最大の技術的特徴は5弦バンジョーのスクラッグス・スタイルで、親指、人差し指、中指の3本に金属の爪をはめ、3本指を使い、8分音符を基本とする分散和音(ロール)を途切れなく繰り出す。演奏形式はジャズに近く、歌の合間に各楽器が順番にソロを取る。歌唱は極めて高い音域で張り上げるハイ・ロンサム・サウンドと呼ばれる発声が理想とされ、3声または4声の重なりが用いられる。和声は三和音中心だが、テンポの速さと各声部の動きの複雑さが独特の緊張を生む。歌詞は故郷への思慕、山での生活、殺人譚、信仰、そして死を扱い、明るい音と暗い内容の対比が特徴である。
成り立ち
1940年代、ケンタッキー州出身のマンドリン奏者Bill Monroeが、自身の楽団Blue Grass Boysで確立した様式に始まる。ジャンルの名称は、この楽団名、ひいてはケンタッキー州の愛称であるブルーグラス・ステートに由来する。決定的な年は1945年で、この年に加入したバンジョー奏者Earl Scruggsが、3本指で弾く奏法を高速のロール奏法へ発展させて持ち込んだ(3本指の奏法そのものは、彼の故郷のノースカロライナ州西部などで以前から行われていた)。バンジョーは伴奏楽器と見られがちだったが、Scruggsの手により旋律を高速で刻む主役楽器へ変貌した。ギターと歌のLester Flattも同時期に加入し、この編成が今日まで続く標準形となった。FlattとScruggsは1948年に独立してThe Foggy Mountain Boysを結成、彼らが1949年に録音した(発売は1950年)楽曲Foggy Mountain Breakdownは、1967年の映画Bonnie and Clydeで使われて再び脚光を浴び、1968年に全米Hot 100で55位に入った。Bill Monroeは彼らの離脱を長く許さず、20年以上口をきかなかったと伝えられる。戦時から戦後にかけて、アパラチア地方の農村から都市の工場へ大量の人口が移動したことが、都市部の聴衆層の形成に影響したという解釈がある。都会で暮らす人々にとって、この音楽は失われた故郷を呼び起こすものだったという見方もある。1950年代後半には、ロックンロールとナッシュビル・サウンドの台頭が脅威となり、Bill Monroeの商業的な地位が下がったが、1960年代のフォーク・リヴァイヴァルにより大学生層に再発見され、1961年にバージニア州ルレイで最初のブルーグラス・フェスティバルが開かれ、1965年にFincastleで最初の3日間開催の野外フェスティバルが開かれて、これらが新たな受け皿となった。1972年、The Nitty Gritty Dirt Bandが古参の演奏家たちを招いて制作したWill the Circle Be Unbrokenは、世代を超えた交流の象徴となった。2000年の映画O Brother, Where Art Thou?のサウンドトラックは、この音楽を再び大衆的な注目に引き戻した。現在では技巧を極限まで追求するプログレッシヴ・ブルーグラスから、初期の様式を厳格に守る一派まで幅広く共存している。
代表曲
- Man of Constant Sorrow (The Soggy Bottom Boys)
- Dust in a Baggie (Billy Strings)
- Cripple Creek (Flatt & Scruggs)
- Foggy Mountain Breakdown (Flatt & Scruggs)
- Blue Moon of Kentucky (Bill Monroe)
- O Death (Ralph Stanley)
- The Fox (Nickel Creek)
- Blue Ridge Cabin Home (Flatt & Scruggs)
- Keep on the Sunny Side (The Carter Family)
- Uncle Pen (Bill Monroe)
- Dooley (The Dillards)
- Rocky Top (The Osborne Brothers)
- Will the Circle Be Unbroken (The Carter Family)
- Roll in My Sweet Baby's Arms (Lester Flatt)
- Kentucky Waltz (Bill Monroe)
- Molly and Tenbrooks (Bill Monroe)
- Orange Blossom Special (Bill Monroe)
- Dueling Banjos (Eric Weissberg & Steve Mandell)
- Shady Grove (Doc Watson)
ルーツ(影響を受けたジャンル)
Country、 Old-Time Music
影響を与えたジャンル
Country
地図でBluegrass(ブルーグラス)のルーツをたどるには、JavaScriptを有効にして 音楽ジャンルルーツ辞典 を開いてください。