Krautrock(クラウトロック)とは
1960年代末から1970年代のドイツで生まれたロックの一群。最大の特徴は「モトーリック」と呼ばれる、8分音符を一定の力で刻み続ける無表情な4分の4拍子のドラムで、バスドラムとスネアが機械のように等間隔に並び、抑揚をつけないことで
1960年代末から1970年代のドイツで生まれたロックの一群。最大の特徴は「モトーリック」と呼ばれる、8分音符を一定の力で刻み続ける無表情な4分の4拍子のドラムで、バスドラムとスネアが機械のように等間隔に並び、抑揚をつけないことで前進する感覚だけが残る。Neu!のドラマーKlaus Dingerは、このビートを「lange Gerade(長い直線)」、のちには「Apache beat」とも呼んだ。和声はほとんど動かず、一つのコードや持続音の上で何分も即興が続き、そこにファズやエコーで加工したギター、シンセサイザーのシーケンス、テープの逆回転、Binson EchorecやRoland Space Echoといった反響装置の残響が重なる。曲は10分から20分に及ぶことが珍しくなく、始まりと終わりより途中の変化の過程が聴かせどころになる。歌は英語でもドイツ語でも、意味を持たない造語でもよく、そもそも歌が入らないことも多い。ブルースの音階と3コード進行という英米ロックの前提から離れようとする姿勢が見られ(Michael Rotherは英米の音楽文化の支配から自由になることを目指したと語っている)、代わりに現代音楽の反復技法、フリージャズの即興、電子音楽のスタジオ技術が持ち込まれた。宇宙的な広がりを指してコズミック・ミュージックとも呼ばれる。
成り立ち
1968年前後の西ドイツで、学生運動と世代間の断絶を背景に生まれた。ナチス時代の記憶を持つ親の世代を否定した若者たちは、同時に、ドイツ語圏を占領文化として覆っていた英米のロックンロールも自分たちのものではないと考えた。1968年9月25〜29日にエッセンの多数の会場(Grugahalleなど屋内が中心)で開かれた大規模な複合フェスティバルInternationale Essener Songtageは、その新しい層が可視化された初期の重要な場の一つである。同年ベルリンでは、Conrad SchnitzlerやHans-Joachim Roedeliusが運営した会場Zodiak Free Arts Labが即興と電子音の実験場となり、のちのTangerine DreamやClusterの面々がここで出会った。ケルンではKarlheinz Stockhausenに学んだIrmin SchmidtとHolger Czukayが1968年にCanを結成し、フリージャズの即興と延々続く反復、テープ編集による構成を組み合わせて、1971年の「Tago Mago」に結実させる。ボーカルはアメリカ人のMalcolm Mooney、続いて路上で歌っていた日本人のDamo Suzukiという偶然の人選だった。デュッセルドルフでは、Kraftwerkにいたドラマーの Klaus DingerとギタリストのMichael Rotherが1971年にNeu!を結成し、無表情に等間隔で叩き続けるモトーリック・ビートを(CanのJaki Liebezeitに続く初期の先駆者として)追求した。ハンブルク近郊のFaustはジャーナリストUwe Nettelbeckの企画でレコード会社から破格の資金を引き出し、廃校のスタジオに籠もってコラージュ的な作品を作る。ミュンヘンのAmon Düül IIは共同生活集団から派生し、Popol Vuhは電子音楽のプロジェクトとして始まったが、すぐにシンセサイザーから離れて有機的な楽器へ移り、Werner Herzogの映画音楽を担当した。技術面で決定的だったのはケルン近郊にスタジオを構えたプロデューサーConny Plankで、彼はNeu!、Cluster、Kraftwerk、La Düsseldorfらの音を作り、のちにUltravoxやEurythmicsも手がけている。「クラウトロック」という呼称は、ドイツ人を指す蔑称krautを使った言葉で、1970年代前半にイギリスのDJジョン・ピールか音楽誌Melody Makerが冗談めかして使い始めたとする説がある(西ドイツの音楽誌が特定のアーティストをけなす語として先に使っていたとも言われる)。当事者たちは長く嫌っていた。1974年にアルバムが出て、1975年に米国で最高5位となったKraftwerkの「Autobahn」が国際的に売れたことでシーンは外へ知られ、以後この音はDavid Bowieのベルリン3部作、Joy Divisionをはじめとするポストパンク、そしてデトロイト・テクノにまで受け継がれていった。
代表曲
- Vitamin C (Can)
- Autobahn (Kraftwerk)
- Halleluhwah (Can)
- Hallogallo (Neu!)
- Trans-Europe Express (Kraftwerk)
- Radioactivity (Kraftwerk)
- Mother Sky (Can)
- Future Days (Can)
- Spoon (Can)
- Das Model (Kraftwerk)
- Computer Love (Kraftwerk)
- Pocket Calculator (Kraftwerk)
- Archangels Thunderbird (Amon Düül II)
- Yoo Doo Right (Can)
- Paperhouse (Can)
- Dizzy Dizzy (Can)
- Soul Desert (Can)
- Mushroom (Can)
- I Want More (Can)
- Sowiesoso (Cluster)
- E2-E4 (Manuel Göttsching)
ルーツ(影響を受けたジャンル)
Experimental Electronic、 Progressive Rock、 Electronic music
影響を与えたジャンル
Detroit Techno、 Synth Pop、 Industrial、 Ambient、 Progressive Rock、 Post-Rock、 Electronic music
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